吉田一穂『試論集 古代緑地』(木曜書房) 香り豊かな独特なスタイル 評者:窪田般彌 「週刊読書人」1958(昭和33)年5月12日号|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2020年2月2日 / 新聞掲載日:-0001年11月30日(第224号)

吉田一穂『試論集 古代緑地』(木曜書房)
香り豊かな独特なスタイル
評者:窪田般彌 「週刊読書人」1958(昭和33)年5月12日号

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【紹介】

この書物はいわゆる常識の書というものではない。そこには週刊誌や新聞をよみなれたものたちの眼を楽しませる一頁もなければ、ラジオとテレビに明け暮れている精神を満足させる一行もないからだ。しかし文学がもし惰眠を貪らない精神の所産であるならば、この書物以上にわれわれに失なわれていた文学を感じさせるものはないだろう。
【批評】

われわれに、この詩人は孤高な精神の持主として知られているが、この詩人の詩と散文には同じようにボードレール風のダンディズムが漂う。『古代緑地』の一編は、自然科学に明かるいこの詩人の学識と、『海の聖母』以来の水々しい感性とを組合させた散文詩である。この書物から、方法論をわきまえ原理的に作詩する詩人の芸術上の秘密をかぎとることもできようが、ぼくはそれとは別に香り豊かなこの詩人の独特なスタイルをみる。巻末の「海の思想」の一篇は、この詩人には珍しい告白であり、美しく楽しいメモワールである。(くぼた・はんや=詩人)

吉田一穂『試論集 古代緑地』(B6判・二二六頁・四六〇円・木曜書房)
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