P.H.シモン著/土居寛之訳『告発された人間』(紀伊國屋書店) 反ヒューマニズムから……ヒューマニズムへ 評者:白井浩司 「週刊読書人」1958(昭和33)年5月19日号|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2020年2月9日 / 新聞掲載日:-0001年11月30日(第225号)

P.H.シモン著/土居寛之訳『告発された人間』(紀伊國屋書店)
反ヒューマニズムから……ヒューマニズムへ
評者:白井浩司 「週刊読書人」1958(昭和33)年5月19日号

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一九三〇年以来、フランス文学には、いままであまり目立たなかった傾向が色濃くあらわれてきた。それを、文学の政治への傾斜といってもいいし、あるいはブルジョア道徳の否定と呼んでもさしつかえない。いずれにせよフランスの評論家は、立場の相違は別にしても、すべて例外なく一九三〇年を、文学史上の境界線と考えることに一致している。P・H・シモンもその一人であって、かれはこの書物で、一九三〇年代の代表作家としてつぎの四人に照明をあてている。すなわち、マルロオ、サルトル、カミュ、サン=テグジュペリーである。

前代の作家たちがヒューマニズムの拠りどころとしたのは、あるいは神であり、あるいは人間の理性であり、人間を越えた抽象的なあるものだった。だが、いわゆる極限状況の連続がこれらの拠りどころを虚妄にした。この四人の作家は、前代のヒューマニズムが、人間を無気力にしたり、欺瞞の生活を送らせたりすることに我慢がならない。かれらは、前代のヒューマニズムを悉く否認する。こうしてかれらは、反ヒューマニズム的姿勢からその仕事をはじめているが、やがてそれぞれの資質や思想に応じた、独特のヒューマニズムをうちたてる方向にむかっている。この間の経緯を、シモンは、同情ある観察者として、柔軟な手つきでここで見事に分析している。(しらい・こうじ=慶応大学助教授・フランス文学専攻)

P.H.シモン著/土居寛之訳『告発された人間―マルロオ、サルトル、カミュ、サン=テックス―』(B6判・一五六頁・二八〇円・紀伊國屋書店)
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