磯野真穂*古田徹也「生きることの不安を問い直す」トークイベント載録(代官山 蔦屋書店) ほんとうの言葉/それぞれの踏み跡 『急に具合が悪くなる』/『ダイエット幻想』/『出逢いのあわい』|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2020年2月21日 / 新聞掲載日:2020年2月21日(第3328号)

磯野真穂*古田徹也「生きることの不安を問い直す」トークイベント載録(代官山 蔦屋書店)
ほんとうの言葉/それぞれの踏み跡
『急に具合が悪くなる』/『ダイエット幻想』/『出逢いのあわい』

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第7回
私たちを包む、たわいのない会話たち――ラインを描く


磯野 
 ラインを描くという話は、人類学者のティム・インゴルドの『ラインズ 線の文化史』(左右社)から引いており、私はこれを『急に具合が悪くなる』と『ダイエット幻想』の両方で使っています。あなたはこういう人間で将来こうなるからこの道を通ったほうがいい、という規定のストーリーから外れることの意味と意義を問い直すことが目的です。偶発的に出会う人、モノ、現象を自分の人生の中に取り込みながら生きることが、私がここでいっている「ラインを描く」ということであり、そこには死であったり、喪失であったり、病気であったりと、必ずしも歓迎できない偶発性も含みます。

古田さんは『不道徳的倫理学講義』でかけがえのなさ、偶発的なものを含み込んでいくことそれ自体が個としての唯一性なんだ、といったお話をされています。ラインの話は唯一性の中の物語ということで繋がっているのではないかと思うのですが、どうですか?
古田 
 そうだと思います。先程引用した「かっこいいガン患者」の話のあと、書き言葉と話し言葉の差異の話があって、話し言葉って要するに日常の会話のことですね。磯野さんと宮野さんがあちこち脱線しながらとりとめのないような冗長なある意味余計な話をしている。しかしその中で初めて個々の話が出てくる。写真家の齋藤陽道さんが『異なり記念日』(医学書院)の中で書いていることですが、自分が過去を思い出すために何が一番重要だったかというと、たわいもない会話たちだったと。会話がむしろそこに輪郭を与える。会話というのはある面では余計なものだらけで、ここで磯野さんと今話してることも、公的な場だからまあ書き言葉に近いところもあるかもしれないんだけども、おそらくこの場でもういろんな所に拡散している。でもそうじゃないとむしろそれぞれの内容が出てこないという感じがしています。
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