【横尾 忠則】新型ウイルス、現実が虚構化。もっと駄ジャレを研究しなきゃ。|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側
更新日:2020年2月24日 / 新聞掲載日:2020年2月21日(第3328号)

新型ウイルス、現実が虚構化。もっと駄ジャレを研究しなきゃ。

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アトリエにて立木義浩さんと(撮影・徳永明美)
2020.2.10
 国立新美術館で3月11日より開催される「古典×現代2020」展にちなんで『ディスカバー・ジャパン』の取材。特に絵の主題にした蕭白の寒山拾得について語る。唐の時代、天台山国清寺に寒山と拾得という文殊と普賢の化身だろうねえ、そんな二人の無頓着な僧がいたが、この二人を森鷗外や蕭白が度々主題にするところから、自分なりの寒山拾得を描いてみる。黒住宗忠のアホの相にも通じる。

世は新型ウイルスの先が読めない感染者や死者の増える報道ばかり。感染者の減少数字はいっさい報道されないので死者の数と共に増加するばかり。ヒタヒタと押し寄せる波に後ずさり、なす術もない。ピークは○月というが根拠のない予測で水際で食い止めると今も言っているが、その水際はすでに玄関まで来ているのではないのか。

イタリアのヴァレーゼでの日本展に出品要請あるが、現実が虚構化していくので何のリアリティもない。
2020.2.11
 〈ピカソがヤッパリ絵ダヨネ、ト言ウ横デ、デュシャンガ、ウナズク。少シ離レタ所デ、コクトーガ知ランプリスル〉そんな夢。

神戸屋にいつもより遅く行ったら全席満員で、小一時間待つ。

帰りに買った週刊誌は東京五輪がウイルスで大混乱! 出きるの? というパニック記事。

新作が中断のまま一向に進展しない。連日不安を煽る社会的現実と個人的現実が乖離したままで、両者が接続しないまま宙ぶらりん。
2020.2.12
 『週刊朝日』の木元健二さん来訪。今後の瀬戸内さんとの往復書簡で、こんなテーマを瀬戸内さんに振れませんかね、と子供のころ、戦争のころ、昭和のころ、などブレーンストーミング風にテーマを出す。

夕方、朝日新聞社の書評委員会へ。この間書いた書評『南極殺人事件』の著者、竹谷正さんより礼状届く。その礼状に礼状を書く。
アトリエにて榎本了壱さんと(撮影・徳永明美)
2020.2.13
 今日は気温がうんと上昇するという。気温が上るとウイルスが繫殖それとも退治できるとか、なんか対策はないの。とは無関係に動悸、息切が続く。

榎本了壱さんと進めているプロジェクトの打合せ。彼は『文學界』の小説を読んでくれていて、いつも感想を述べてくれる。駄ジャレの得意な榎本さんは小説内の澁澤龍彥さんの駄ジャレを全部覚えていて、ひやかされる。こういう読者のためにも、もっと駄ジャレを研究しなきゃ。
2020.2.14
 〈ドコカノ旅館デ、高倉健サント養女ノ貴月サント3人デトランプヲシナガラ、健サンガ鼻歌混ジリデ「網走番外地」ノ歌ヲ歌ウ。アカペラデ聴クノモナカナカ味ガアッテイイモンダ〉という夢。

〈鏡ノ中ニ映ッタ自分ノ顔ニハイツノ間ニカ髭ガナクナッテイタ〉という夢。夢は現実をなぞる。

『メンズプレシャス』の取材で立木義浩さんが写真を撮りに。ベタベタしたつき合いはなく、50年ほど、写真を撮られる時だけの不思議なつき合い。こーいう友人はいつも新鮮でいいもんだ。彼の撮るポートレイトは都会的でシャープでモダン。できあがるのが楽しみ。でも撮られている時はうんと近づくので怖い。

新型ウイルスを避けるために人の集まるところや、あまり沢山の人とは会わないように、スケジュール変更しよう。何しろこちらは持病を持つ80代の高齢者なんだから。
2020.2.15
 〈健サンガ歌ヲ歌ッタ夢ヲ見タトイウ夢ヲ見ル〉という念の入った夢を見る。

桂花でふかひれそばを食べる。行く度に、『週刊朝日』でふかひれそばを紹介していただいたので毎日、1、2杯は出るとお礼を言われる。もう何回言われたか。ふかひれそばを食べたらウイルスにかからないと宣伝すると、一日に10杯や20杯できかないだろうなあ。ウイルスが頭から離れない毎日だ。
2020.2.16
 雨の日と寒い日は歩くチャンス。特に理由はない。

イテテエ! 爪をはがしちゃった。伸びていたので切ろうと思いながら怠けた結果の災難だった。思ったこと、考えたこと、直感は即実行。

スプレー式消毒液売切れ。その足で美容院でヘアーシャンプー。手袋片方忘れて帰る。(よこお・ただのり=美術家)
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