小林 エリコ著 生きながら十代に葬られ|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2020年2月29日 / 新聞掲載日:2020年2月28日(第3329号)

小林 エリコ著
生きながら十代に葬られ

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 感じたのは「強さ」だ。 虐待やいじめや家庭の問題、その反動で起こした学級崩壊、塾のセクハラ交じりの補講、唯一の生きる光だった「絵」の道は閉ざされ――。同じ経験はしていないけれど、読めば胸の内に、あの十代の空気がまざまざとよみがえってくる。通学路で、会う先輩ごとに挨拶をしなければならず、先輩の方は無視する、というお約束。あの緊張感といたたまれなさを忘れていた。卒業アルバムの最後のページに、メッセージを書き合う瞬間。中学生にとっては、三年間の全てが象徴されると感じられる瞬間だ。「ブス」と大量に書かれた卒業アルバムを三〇を過ぎた頃に泣きながら引き裂いた著者。なんという孤独だろう。つらいエピソードばかりだ。でも読み心地は悪くない。これが自分だったら、私はこんなふうに記憶を見つめ返せるだろうか。抱え続けていけるだろうか。生きながら十代に葬られた著者は、ゾンビのように現在の自分に襲いかかり「私のことを忘れるんじゃない」と泣きながら、あの時代に引きずり込もうとする十代の私に「大丈夫だよ。大人になったら、素敵な時代がやってくるよ」と声をかける。「この本を書いている間、私はほとんど泣いていた」という著者に、何も返せないが、ありがとうといいたい。
この記事の中でご紹介した本
生きながら十代に葬られ/イースト・プレス
生きながら十代に葬られ
著 者:小林エリコ
出版社:イースト・プレス
「生きながら十代に葬られ」は以下からご購入できます
「生きながら十代に葬られ」出版社のホームページはこちら
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