新たなる可能性をひらく学問、文化情報学 村上征勝監修『文化情報学事典』(勉誠出版)刊行を機に|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2020年2月28日 / 新聞掲載日:2020年2月28日(第3329号)

新たなる可能性をひらく学問、文化情報学
村上征勝監修『文化情報学事典』(勉誠出版)刊行を機に

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文化情報学事典(村上 征勝)勉誠出版
文化情報学事典
村上 征勝
勉誠出版
  • オンライン書店で買う
様々な文化現象をデータサイエンスの手法で読み解く「文化情報学」。この度、勉誠出版より『文化情報学事典』(村上征勝監修)が刊行された。これを機に、監修者の村上氏と元内閣総理大臣で東アジア共同体研究所理事長の鳩山友紀夫氏に対談をお願いした。政治に携わる以前は電気工学やORといった理科系の研究者であった鳩山氏が考える現在の教育とは――。             (編集部)
第1回
急速に進む文化現象のデジタル化


村上 
 この度、勉誠出版より刊行された『文化情報学事典』を監修しました。現在はコンピューターの急速な進歩、そして普及によってデジタル情報の時代です。文学、言語、芸術、歴史などの文化領域の現象は複雑で曖昧なものが多く、データ化し分析することが難しかったのですが、今は文化現象のデジタル化が急速に進んでいます。そのようなデジタル情報をうまく利用して、諸々の文化研究において紡がれた縦糸を、データサイエンスの様々な手法という横糸で編みあげる文理融合型アプローチの方法や実例を解説したのがこの『文化情報学事典』です。

文化現象のデジタル化や、保存、共有、分析法の進展により、新たな知見、新たな可能性が見いだせると考えています。私が同志社大学で文化情報学部長をしていた時に、鳩山さんには客員教授として数年にわたって講義をしていただきました。鳩山さんは東京大学工学部を出てスタンフォード大学の大学院でオペレーションズ・リサーチ(OR)を専攻しています。ORは数学や統計を使って合理的な意思決定を行うための学問ですので、データの分析研究が多く含まれている『文化情報学事典』も、その内容に興味をもって読んでもらえるのではないかと思います。
鳩山 
 すごい事典を作られたというのが第一印象です。私は文科省が文系と理系を分けすぎていると思います。日本の若者たちは早い段階で(文系か理系かという枠組で)進路を決めなければならないけれど、コンピューターが発達している今の時代には文系と理系が融合されなくてはならない。

文化、経済、政治、すべてのことで数学が駆使されて社会は成り立っています。役に立つのは理系だからといって文科系の学部を廃止しようとする風潮は大きな間違いです。今こそ文化情報学のような文系と理系が融合された学問をど真ん中に置いて、両方の得意とする手法をうまく組み合わせて、より良い日本の社会を作らなければならない。この出版は文科省に対する挑戦だと感じました(笑)。
村上 
 今後は文化情報学のようなデジタルデータを積極的に活用する学問が必要になると思っています。統計学者の林知己夫先生が「統計は役に立たないと駄目だ」とおっしゃっていました。 数式を用いたスマートな分析でなくてもよい。泥臭い分析でもデータ分析で問題が解決できればいいと言われていました。文化の領域では正規分布のような理論的な分布に従うとみなされる、きれいなデータが少ない。また感性情報などはデジタルデータ化そのものが難しい。しかし、そういう領域でデジタルデータを作ることによって何か新しいものが見えてくるのではないか。この事典は文化に関わるそれぞれの分野について深く切り込んでいるわけではありませんが、分野別にどのようなデータ研究が行われているかがわかるようになっています。
鳩山 
 それぞれのセクションでもっと深く研究したい場合には、参考文献があげられているので非常に親切ですね。個々の項目もわかりやすく書かれているので、文系・理系と分かれる前の高校生や中学生にも読めます。高校生や中学生がこういうことをやりたいという興味をこの事典の中から見つけられるのではないでしょうか。
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この記事の中でご紹介した本
文化情報学事典/勉誠出版
文化情報学事典
監修者:村上 征勝
出版社:勉誠出版
「文化情報学事典」は以下からご購入できます
「文化情報学事典」出版社のホームページはこちら
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