グレタのねがい 地球をまもり 未来に生きる 書評|ヴァレンティナ・キャメリニ(西村書店 )|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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読書人紙面掲載 書評
更新日:2020年3月14日 / 新聞掲載日:2020年3月13日(第3331号)

グレタのねがい 地球をまもり 未来に生きる 書評
十五歳でも世界を変えることができる
グレタの人物像に最も迫り、その主張を的確にとらえる

グレタのねがい 地球をまもり 未来に生きる
著 者:ヴァレンティナ・キャメリニ
翻訳者:杉田 七重、増田 ユリヤ
出版社:西村書店
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 十五歳で地球環境のために一人でスウェーデンの国会議事堂前で座り込みを始め、世界中で注目され、スイスのダボス会議でも発言したグレタ・トゥーンベリに関する日本で最初の子ども向けの本。

九章からなり、学校ストライキを始めた理由(第一章)を紹介した後、グレタが八歳の時に地球環境について知り、十一歳で不登校になってアスペルガー症候群と診断され、そこから十五歳になるまでの過程が第二章で丁寧に書かれている。第三章以降はグレタの活動が注目され、活動の場が広がっていく様子が時系列で端的にまとめられている。巻末には五つのコラムがあり、地球温暖化の解説、環境のためにできる十一のこと、気候変動に関する主なキーワード解説とその掲載ページ、気候変動に関する主なトピック、グレタのニュースのまとめがあり、本文の知識を掘り下げ、広げることができるようになっている。最後には、ジャーナリスト増田ユリヤによる解説「グレタさんから学べること」があり、グレタへの批判を紹介し、それに対する増田の考えを述べている。

本書が出版されて以降、絵本やノンフィクションが数冊出版されているが、本書が最もグレタの人物像に迫っている。アスペルガー症候群であるため、「特定の問題に強い関心をしめし、かたときもそれを忘れられないことが多い」「物事はすべて白と黒にわかれ」「自分が興味を持ったことをとことんつきつめていく」という傾向があり、そのことが、グレタが気候変動について徹底的に調べ、権威に屈せず、正しいと思う道を突き進んでいく原動力になっていることが書かれている。

また、グレタに対する批判を踏まえた上で書かれている点も興味深い。グレタが学校へ行かないでデモをしたことに対する考え、注目されても行動が伴わなければ意味がないという発言など、グレタの考えが首尾一貫していることが読み取れる。

そして、個人の環境への努力だけでは地球の気候変動は解決できず、政治家の目を気候変動に向け、地球レベルで行動しなければ解決しないという訴えが強調されている点も、グレタの主張を的確にとらえている。

以上のように『グレタのねがい』は、グレタが問いかけている環境問題がコンパクトにまとめられているだけでなく、障がいとは? 政治とは?子どもとは? という点についても深く考えさせる。子ども読者にとっては、十五歳の子どもでも世界を変えることができることに勇気をもらえる本といえ、大人にとっては、グレタの主張を知り、自らの環境に対する考えを問うことのできる本という意味で意義深い。
この記事の中でご紹介した本
グレタのねがい 地球をまもり 未来に生きる/西村書店
グレタのねがい 地球をまもり 未来に生きる
著 者:ヴァレンティナ・キャメリニ
翻訳者:杉田 七重、増田 ユリヤ
出版社:西村書店
「グレタのねがい 地球をまもり 未来に生きる」は以下からご購入できます
「グレタのねがい 地球をまもり 未来に生きる」出版社のホームページはこちら
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