アンリ・アレッグ著/長谷川四郎訳『尋問』(みすず書房) “怪物の支配”に抗して――アルジェリアでの拷問との闘いの記録 評者:渡辺淳 「週刊読書人」1958(昭和33)年6月9日号|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

  1. 読書人トップ
  2. 特集
  3. 読書人アーカイブス
  4. 社会・政治
  5. アンリ・アレッグ著/長谷川四郎訳『尋問』(みすず書房) “怪物の支配”に抗して――アルジェリアでの拷問との闘いの記録 評者:渡辺淳 「週刊読書人」1958(昭和33)年6月9日号
読書人アーカイブス
更新日:2020年3月8日 / 新聞掲載日:-0001年11月30日(第228号)

アンリ・アレッグ著/長谷川四郎訳『尋問』(みすず書房)
“怪物の支配”に抗して――アルジェリアでの拷問との闘いの記録
評者:渡辺淳 「週刊読書人」1958(昭和33)年6月9日号

このエントリーをはてなブックマークに追加
強暴な弾圧や拷問はドイツや日本だけの専売ではないらしい。なぜなら、かつてナチス・ドイツの占領下でいやというほどその苦い経験をなめさせられたフランス、自由と平等と友愛を旗印としたフランスが今度はそれをアルジェリアで行っているからだ。

これはいった何を物語っているだろうか? 人間の問題として考えれば、よほど強固でないと状況・・によって人間は容易にけだもの ・・・・になりやすいし、国家の問題として考えれば、やはり状況・・によってその為政者はたやすく怪物的な権力者・・・・・・・になりやすいということだ。

現地で、アルジェリア戦争反対の論陣を張ったために、フランスのパラシュート兵に捕えられ、彼らの拷問をうけた同じ・・フランス人のジャーナリスト、アンリ・アレッグのこの記録は、そうした悲しい現実を何にもまして端的にわれわれに見せてくれる。

しかし、フランス本国で発禁となったこの記録の価値はまた、というより何よりも、そうした現実に抗してアレッグがたたかい抜いたという点にある。彼は、電気責め、水責め、藁責めにも負けなかった。アレッグは、けだものと怪物の支配のなかで、勇敢に人間と同時にフランスの名誉を救ったのである。この記録が恐ろしく、いまわしい世界を描きながらも何かしら明るいのは、それが勝利の記録だからであろう。

著者も、そして本文に付せられたこの証言についての見事な解説のなかでサルトルも(この解説は、はじめ《レクスプレス》というマンデス・フランス系の週刊紙に掲載されたが、そのせいで同紙は押収された)これはすべてのフランス人に読まれなければならないと強調しているが、さらにはこれは現代のあらゆる国の人々に読まれなければならない感動的なヒューマン・ドキュメンタリーだと思う。

なお、標題の《ラ・ケスチヨン》は、はっきりと『拷問』と訳すべきだろう。(わたなべ・じゅん=都立大学助教授・フランス文学専攻)

アンリ・アレッグ著/長谷川四郎訳『尋問』(B6判・一二六頁・二〇〇円・みすず書房)

このエントリーをはてなブックマークに追加
読書人アーカイブスのその他の記事
読書人アーカイブスをもっと見る >
社会・政治関連記事
社会・政治の関連記事をもっと見る >