岩崎昶『現代日本の映画ーその思想と風俗』(中央公論社) 一定の史観に立つ――映画人の生長のプロセスを解説 評者:亀井文夫 「週刊読書人」1958(昭和33)年6月9日号|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2020年3月8日 / 新聞掲載日:-0001年11月30日(第228号)

岩崎昶『現代日本の映画ーその思想と風俗』(中央公論社)
一定の史観に立つ――映画人の生長のプロセスを解説
評者:亀井文夫 「週刊読書人」1958(昭和33)年6月9日号

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戦後の日本映画の歩みの中で、最も重要な問題点は、映画人が、芸術家としての自主性にめざめ、これを獲得しようと奮闘し出した事にある。
『現代日本の映画』は、この、映画人の生長のプロセスを、いくつかの代表的な作品を分析しながら、解説している。だからこの本は、戦後の代表作品の科学的批評集であると同時に、一定の史観の上に立った現代映画史でもある。

まず、戦前、映画人が軍国主義の奴隷にされていた模様から筆を起し、次に、占領軍が映画を指導した時期の、数々の裏話を興味深く紹介しながら、映画人の悩み、苦しみ、抵抗を、深い反省の態度で語っている。だからこの種の本としては、珍しく、心をうつものがある。

また、戦後の日本映画の動向にかなりの影響をあたえたといってもよいリアリズム派の活動と“独立プロ”の楽屋話は、著者自身の苦難の道だっただけに、いきいきとした叙述になっている。

この本の中で、ぼくが一番興味をひかれたのは、“良心的なファシズム映画”と“反戦映画の日本的形態”の二章である。著者は、前者を批難し、後者を肯定している。だが、ぼくは、両者には共通するものがあるように思う。そして、この共通するものをツマミ出して見せるのが、実は、批評家の一番大事な仕事だったのではないか、と思ったのである。

なお、巻末に、膨大な作品リストを編集して、それにいちいち要領のいい梗概を書いてくれた点は、大へん便利で、有難い。(かめい・ふみお=映画監督)

岩崎昶『現代日本の映画』(B6判・三三〇頁・四〇〇円・中央公論社)
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