【横尾 忠則】おでんの阿保、惚け、馬鹿、間抜、火男、茄子、南瓜、Cambodia、スットコドッコイ、小便小僧!|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側
更新日:2020年3月23日 / 新聞掲載日:2020年3月20日(第3332号)

おでんの阿保、惚け、馬鹿、間抜、火男、茄子、南瓜、Cambodia、スットコドッコイ、小便小僧!

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野良黒(撮影・筆者)
2020.3.9
 終日アトリエ。メールを出したり、返事を書いたり、ゲラ校正をしたり、連載エッセイに手をつけたり、止めたり、絵を描くかどうするか思案して投げ出したり、週刊誌を拾い読みしたり、不眠時間を仮眠で補ったり、しているうちに一日は終った。
2020.3.10
 寝不足が風邪を誘発しないようアトリエを温めたり、通風をよくするために窓を開けたり閉めたり、しながら衣服を脱いだり着たりして、体温調節をする。

コロナ・パニックが年を越すとか、越さないとか、展覧会が何本か待機しているが、やるのかやらないのか。

歩くだけで動悸、息切れ、自分固有のものか、老人共有のものか? どっちや。
2020.3.11
 〈内田裕也サンノ葬式デ、細野晴臣サンガ、僕ニ言ウ。「裕也サンノ超豪華函入リ本ヲ出スト発表シテ下サイ」ト。一体誰ガスポンサーニナルノヨ、ソンナ何万円モスル本誰ガ買ウ? 不可能ダト思ウノデ、ソンナコト発表シナイ方ガイイ、ト言ウ〉夢。

雨の日はおでんは外に出たがらないので無理矢理外に出してオシッコをさせるが、そう思っただけで姿をくらます。人間は猫は五感が優れていると解釈をするが、それは人間の領分の発想だ。猫は実際に人の心(想念)を察知する能力があることをネコ好きの人間でも余り理解していない。人と猫が会話を交す唯一のツールは想念波動である。
2020.3.12
 朝日新聞の「好書好日」の「アトリエ会議」の予定だったが、中止にする。

残った食物をアトリエの裏庭に出すと、誰が食べるのかきれいにさらえている。禅寺で残った食べ物は餓鬼に与える風習があるがそれを思い出した。

髪の毛や髭にもウイルスが附着すると病院の先生が、「ですから髭は剃った方が」と言われて剃る。伸ばした時は「若く見える」と言われたけれど剃ったら剃ったで若くなったといわれる。ドッチヤ!
2020.3.13
 寝入りばなが悪く、ノンレム睡眠がとれない時がある。二度目のノンレムも難しく、朝まで、ノンレムかレムかわからないまま朝を迎えるが、ジッとしていても極度な疲労のままアトリエへ。何かの拍子に治るが、何かの拍子が何なのかわからないので悩む。以前も凄い不眠に悩まされた時、本の広告で「眠らないと死ぬ」というコピーにショックを受けたのがきっかけで、その日から不眠が治ったことがあったが、今回は?

天気がいいのに、おでん布団の上で。何を考えているのかわからない。阿保、惚け、馬鹿、間抜、火男、茄子、南瓜、Cambodia、スットコドッコイ、小便小僧!

同級生の養蜂家高橋国人さんに蜂蜜を大量に送ってもらう。レンゲ採蜜は高級品、色が透明。就寝時に飲むと熟睡可とか。
2020.3.14
 終日雨だとテレビが言う。心配なのはおでんのオシッコだ。タイミングを見計らって外に出さなきゃ。

久し振りに駅前のアルプスへ。コロナですいていると思ったがその反対。桂花でフカヒレそば。また新しい消毒液をもらう。雨の中のアトリエへ。雨がみぞれに変って雪になって、またみぞれに変る。暖房の効果なし。震えながら『文學界』の〈原郷の森〉11回目書き始める。
2020.3.15
 〈美術館ノ学芸員ノ女性ニ、終戦ノ年ノ3月10日ニ東京大空襲ガアッテ、B29ガ300機飛来シテ空爆サレタ、トB29ガ飛来シタ空ヲ見上ゲナガラ説明スル〉夢を見る。

野良黒はエサだけ期待するが、おでんをいじめる。2匹がテリトリー争いをしていて、おでんより以前からいる野良黒は威張っていておでんの飼主が地主でもあるということがわかっていない。

終日アトリエから一歩も出ないで『文學界』の〈原郷の森〉22枚書く。枚数は決まっていないので、ここらへんで止めてもいい。(よこお・ただのり=美術家)
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