激突! 遠藤vs田原 日中と習近平国賓 書評|遠藤 誉(実業之日本社 )|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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読書人紙面掲載 書評
更新日:2020年3月28日 / 新聞掲載日:2020年3月27日(第3333号)

激突! 遠藤vs田原 日中と習近平国賓 書評
真剣勝負の対談、激書
習近平を国賓として招く是非、言論の自由、民主主義の本質

激突! 遠藤vs田原 日中と習近平国賓
著 者:遠藤 誉、田原 総一朗
出版社:実業之日本社
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 中国、香港、台湾について、日本人がどれほどの事実を知っているのかをつきつけられる真剣勝負の対談、読みながらうならされる。

中国ウォッチャーの遠藤は言う。田原がいまや政治をテレビ化し、二階俊博自民党幹事長、安倍晋三首相にアドバイスする立場にいる。「習近平を国賓来日させよ」とか、「隣国とは仲良くしろ」「日本は一帯一路に協力すべし」と忠告し、日本をこのように間違った方向に導いているのは、田原さんだと言えるかもしれない。政権やトランプ大統領の代弁者として、政府答弁のような回答ではなく、この対談ではナマの声を発してもらいたいと迫っている。

遠藤は一九四一年中国吉林省長春市生まれ。国共内戦を決した長春食糧封鎖(卡子)を経験。一九四八年、中国共産党軍による封鎖で餓死者が続出、人肉市場が立ったという噂が流れる中、「卡子」を潜り抜け、地面いっぱいに敷き詰められた餓死体の上で四日間野宿、弟は餓死した。遠藤は餓死した数十万の無辜の民の魂を背負い、中国共産党によって抹殺された数千万の民の無念の声に耳を傾けてくださいと主張する。『卡子 中国建国の残火』(朝日新聞出版)にくわしい。

親中国の立場の田原に対立する論点。

①現在、中国で一〇名以上の日本人が単にスパイ容疑で拘束されている。拉致された状況を放置したままでいいのか。

②一九八九年六月四日の天安門事件を受けて西側諸国が対中経済封鎖に出たときに、日本は最初にそれを破った。経済界のニーズに押されて宇野宗佑首相は、〝中国を孤立させるべきではない〟と主張。一九九一年には海部俊樹首相が、円借款を再開し、西側諸国から背信行為と非難された。さらに一九九二年十月、天皇陛下訪中まで実現させてしまう。すると、中国の目論見通り、アメリカも直ちに対中経済封鎖を解除して、西側諸国はわれ先にと中国への投資を競うようになった。

当時の銭其琛外相は、回顧録で〝天皇訪中は対中経済封鎖を打破する上で、非常に積極的な作用を発揮した。日本は最も結束が弱く、天皇訪中は西側諸国の対中経済の突破口となった〟と述べている。

③香港の民主化と自由を踏みにじる中国の国家主席を、日本が熱烈に歓迎するということは、習近平政権による言論弾圧や人権抑圧を肯定するというメッセージを世界に発信するに等しい。国賓として国家主席を招き、中国の言論弾圧と人権蹂躙にお墨付きを与えようとしている。

田原は中国は最も重要な経済パートナーであり、親交、交流を深めるべきと反論している。

遠藤は危機感を披露。「もし、習近平が訪日すれば、天皇陛下に拝謁する。その映像を全世界に発信し、日本が習近平の一党独裁支配体制のやり方を肯定したとして大々的に利用する。そして、返礼として天皇陛下の訪中を要求します。これ以上の天皇政治利用はありません」と抗議。

抗日戦争に勝利したのは蒋介石の「中華民国」で、遠藤は『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮社)という本も書いている。重要な指摘だ。

習近平を国賓として招く是非。言論の自由、民主主義の本質を考えさせられる激書だ。
この記事の中でご紹介した本
激突! 遠藤vs田原 日中と習近平国賓/実業之日本社
激突! 遠藤vs田原 日中と習近平国賓
著 者:遠藤 誉、田原 総一朗
出版社:実業之日本社
「激突! 遠藤vs田原 日中と習近平国賓」は以下からご購入できます
「激突! 遠藤vs田原 日中と習近平国賓」出版社のホームページはこちら
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