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更新日:2020年3月30日 / 新聞掲載日:2020年3月27日(第3333号)

日文研がニューヨークで国際会議 磯前 順一報告

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翻訳不能なものを翻訳する ――ポストコロニアル研究の遺産
目 次

第1回
日文研主催NYシンポジウム

左から奥に、デ・ブリース氏、スピヴァク氏、エガート氏、松田氏、荒木氏、酒井氏。手前左から、安井氏、磯前

二〇二〇年二月一三~一五日の三日間にわたって、ニューヨークのコーネル・ファカルティ・クラブで、日文研主催のシンポジウム「翻訳不能なものを翻訳する――ポストコロニアル研究の遺産」が翰林大学日本学研究所(徐禎完所長)およびコーネル大学酒井直樹教授との共同出資のもと行われた。この企画はタラル・アサド名誉教授(ニューヨーク市立大学大学院)の結婚六十周年および日文研創立三十周年を祝うために、アサドの新作『世俗の翻訳』に想を得て、翻訳論の観点からポストコロニアル研究を総括するものとして準備を進められてきた。

立案者である磯前・アサド・酒井・徐に加えて、合衆国からガヤトリ・スピヴァク(コロンビア大学)、ヘント・デ・ブリース(NYU)、平野克弥(UCLA)。ドイツからマリオン・エガート(ルール大学ボッフム)。韓国から全成坤(翰林大学)。日文研からは荒木浩、松田利彦、安井眞奈美、楠綾子、松木裕美、プラダン・ゴウランガ・チャラン。日文研が世話役を務める国際日本研究コンソーシアムからは友常勉(東京外語大学)が出席した。その中で、汪暉(清華大学)が不参加になったのは誠に残念であった。

テーマの翻訳論は、主体形成の過程のあり方として「翻訳不能なものの翻訳」という主題を読み解く試みとなった。今では古典となったテクスト、ベンヤミン「翻訳者の使命」、そしてデリダ「バベルの塔」を、参加者である酒井の『翻訳と主体性』およびアサドの『世俗的翻訳』とどのように繋ぎ合わせるのか、翻訳不能性と翻訳の必要性はいかなる関係のもとに捉えられるべきなのか。激烈な議論が交わされた。それは南アジアや中東、そして東アジアの宗教・文化的伝統の流れを汲む知識人が、西洋的な知の伝統の中に入り込みつつ、それを自己の主体化の問題としていかに読み替えていくかという、翻訳行為の実践を示して見せた会議であった。
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