【横尾 忠則】人の運命ってわかりません雪桜をおでんシゲシゲ|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2020年4月3日 / 新聞掲載日:2020年4月3日(第3334号)

人の運命ってわかりません雪桜をおでんシゲシゲ

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アトリエにて吉村千彰さんと(撮影・徳永明美)
2020.3.23
 三連休がなくても毎日退屈の日々を暮らしている。テレビには相変らず人出の多い街が映され、この内の何人かがコロナ感染者予備軍ですよ、と言っているように見える。

2020.3.24
 朝日新聞の読書編集長の吉村千彰さんが大阪本社に移ることになったと挨拶に。吉村さんの在籍中は書評をビジュアル化させたりしたが、大方の人が「よく採用されましたね」と掲載に踏み切った吉村さんを評価する声が多かったのは嬉しい限りだった。誰が一番喜んだかは読者だった。ネットでの反響がそれを物語っていた。
運動不足解消を人の手を借りてマッサージへ。成城整体院の岡さんが死去。ついこの間、「元気になられてよかったですね」と挨拶したばかりだ。人の運命ってわかりません。

2020.3.25
 ミラノ在住のダニエラ&ファビオ夫妻に「イタリアは大変なことになっているけれど大丈夫?」とメールをしたら、2人のマスク装着写真が送られてきて、「人生を深く考えるチャンスを与えられた」と前向きの姿勢に勇気を与えられた。
午後は連載エッセイ2本書く。絵は苦になるけれどエッセイはそれほどでもない。
画集『タマ、帰っておいで』の見本届く。出版と同時に展覧会が決まっていたが延期。他にも2本の展覧会が延期中。
東京五輪にちなんだプロジェクトが進行していたが、これも当然延期。

2020.3.26
 延期、延期の中で、GUCCIのデザイナー、アレッサンドロ・ミケーレ氏とカルチャーファッション誌「Tokion」よりコラボレーションの依頼あり。
東京のコロナ感染者が2日で88人増え、今週末の外出は自粛要請。先週の三連休の結果判断? 感染爆発の重大局面に来ているといいながら、次の手はまだ打たず。政府は海外と比較すればまだ時期尚早と判断? 直感が磨滅していると先行思考が狂う。芸能界、プロ野球界に感染者がでていても、政界だけは大丈夫と思っているのでは?

2020.3.27
 デッサンのまま放置している絵に彩色を加えるが、絵のなりゆきもコロナと同じ、全く先行き見えません。

2020.3.28
 今日、明日の外出自粛要請。
起床後、何だか体調変? 躰がホテる。しばらくベッドの中で考える。どうも水分不足では? もしや熱中症? 急いでスポーツドリンクを飲む。瞬間に治まる。やっぱり熱中症だった。寒い日が続いているので水分が充分摂れていなかった。過去の熱中症体験が教訓になった。

2020.3.29
 〈四国八十八ヶ所オ遍路巡リ中ニ、何処ノ札所ダッタカデ、「トニニトロン」トイウ生マレ変リノ星ノ人ガイル、ト聞ク。デハ、ソノ「トニニトロン星」ノ人ト地球人ノ混血児ヲ作ッタラ? ト側ニイタドコカノ女性ニ勧メル〉というわけのわからぬ夢を見る。
朝から雪。ベッドルームから見る庭の桜の枝が重そうに見えるのは桜の花に被さった雪だ。ありそーでなさそーな珍しい光景。そんな雪桜を、おでんは不思議そーな顔をして、シゲシゲいつまでも眺めている。
今日は外出自粛の2日目。主人が在宅なのでおでんは喜んでいるようだ。くっついて離れない。あんまりくっつくとコロナが移るゾ~と言っていると、長女がやってきて、「猫がコロナになったんだって」と言う。どーやら人が移したらしい。
元旦でも家にいたことがないので、まるで病人になったみたい。
今日の東京の感染者は過去最高68人とか。家にいるとストレスになると想像した若者が、「だから街にやってきた」とテレビで言う。本当だと思うが、欠如した自覚の若者が、当てもなく人出の少ない街をほっついている。何が現実で何がフィクションか、その境界がヤバイ。(よこお・ただのり=美術家)
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