『治安維持法検挙者の記録』 文生書院より刊行|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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出版メモ
更新日:2016年7月1日 / 新聞掲載日:2016年7月1日(第3146号)

『治安維持法検挙者の記録』
文生書院より刊行

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小森恵著、西田義信編『治安維持法検挙者の記録 特高に踏みにじられた人々』が文生書院から刊行された。菊判上製・720頁、本体12000円。

本書は、思想統制史資料の蒐集と整理の第一人者であった故・小森恵氏が戦後間もない時期に、かつて治安維持法により弾圧された本人から、自らの資料の所在を訊ねられたことに端を発する。以来50年、氏が心血を注ぎ、資料蒐集、整理・編纂した、治安維持法による検挙者の記録が世に送り出された。

本書の意義は大きくは2つあり、ひとつは記録を通して、当時の治安維持法による抑圧の体系、法律の拡大解釈の推移を知ることができること。もうひとつは治安維持法が日本の社会運動や宗教、文学、文化活動に与えた破壊的な影響力を知ることができる点である。本書に連なる人名には、党員だけでなく、知識人、文化人など驚くほど広範な人々が登場し、治安維持法と特高警察が当時の市民にどれほどの恐怖を与えていたかが、うかがえる。

本書は、他に例を見ない収録数(大書『近代日本社会運動史人物大事典』の2倍近い記載量)と、人名ごとにまとめられたすべての項目にページを明記した出典名を記載。困難であった原典の参照を容易にしている。本書の原典は、『特高月報』、『思想月報』、『治安維持法弾圧犠牲者名簿』(1)日本赤色救援会編、『茨城県共産主義運動史』を基本に、2000冊近い書籍から、検挙された人名ごとに、検挙、裁判、判決日時、判決内容、検挙の事由、プロフィール等を抽出。社会運動史研究者必携の書となっている。文生書院TEL:03・3811・1683
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