【横尾 忠則】正面を見つめて、キャンバスに立ち向かうのが、画家の自然体です|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2020年5月15日 / 新聞掲載日:2020年5月15日(第3339号)

正面を見つめて、キャンバスに立ち向かうのが、画家の自然体です

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自粛中のアトリエからの風景
2020.4.27
 〈鏡ノ迷路ニ閉ジ込メラレテイル。下手ニ動クト相手(敵?)ニ気ヅカレテシマウ。立チ往生ノママ声モ出セナイ〉。サスペンス映画の一場面に入り込んだような夢。
〈西洋ノ古典的ナ会場デ回顧展ヲ開催中。南サント藤井サンデ、ガラントシタ会場ニイル。コロナデ観客ハ誰モイナイ〉。
終日アトリエ。絵は一進一退。

2020.4.28
 青天。
終日、書評本を読んで、夕方、書評書く。

2020.4.29
 連休が始まっているらしいが、年中、連休なのでいつ始まって、いつ終る?

2020.4.30
 〈何カノ集会ニ招待サレルガ、乗リ気デナイノハ、三密状態ダカラカ?〉。コロナは夢の中にまで侵入してきている。意識と無意識の境界は最早ない。

2020.5.1
 鷲田清一さんに、朝日新聞の「折々のことば」で2日連続、猫のこと、取り上げられたお礼のメールをすると、鷲田さんは猫が二番目に怖いそーだ。子供の頃、見た化け猫映画のせいらしい。そーいえば鈴木澄子の化け猫は怖かった。入江たか子も怖かった。鷲田さんは未だに日本旅館には泊まれないそーだ。天井の一角が破けて、そこから化け猫が出て来そーで。わが家にはバカ猫のおでんがいる。

2020.5.2
 〈今生最後ノ大キイ展覧会ノ会場ニ、一人ポツン〉。この間も観客のない展覧会場にいる夢を見たが、コロナの強迫観念が作る夢かな?
この間から首が異常に痛い。マッサージをして貰いたいが、密着はコロナの素。原因はうつ向いて書き物をしていたせいです。画家はやっぱり、正面を見つめて、キャンバスに立ち向かうのが、画家の自然体です。原因のない結果はないということです。

2020.5.3
 〈宮本和英サンノ企画デ、若イ女ノ子ヲ沢山集メテ、篠山紀信サンガ写真ヲ撮ル〉なんて夢は、わざわざ夢にすることもない現実そのままのコピー夢。段々、夢もネタ切れになってきたらしい。
本日は今年初の真夏日。27度。

2020.5.4
 〈森村泰昌サンモ出品スル、グループ展ヲ見ル。大キイ会場ノ天井マデ届ク巨大作。大キスギテ、ヨク見エナイ。場所変ッテ、ホテルノ一室デ、長々ト、オシャベリ。ハッ、ト気ガツクト、家ヲ出テ、何日モ、所在ヲ連絡シテイナイ。事務所ニ連絡スルト、徳永ガ、約束シテイタ、外国ノオ客サンガ待ッテラッシャル、ト言ウ。今イル所ハ、大阪ダ。急イデ帰ッテモ、4、5時間ハカカル。イツノ間ニ、コンナ風来坊ニ、ナッテシマッタノダロウ。随分身勝手ナ性格ニナッテシマッタヨーダ。虚実ノ境ガナクナッテシマッタヨーダ。コーイウ、ヤナ気分ヲ味ワウノハ、夢ノヨーダ〉。本当に夢だったヨーダ。
〈抜歯スルコトニナッテ、歯医者ノ椅子ニ釘付ケサレテイル。気分転換ノタメニ、若イ女性ガ沢山イテ、何ヤラ騒ギタテテイル。患者ノ気ヲマギラワセルタメノ麻酔薬ノ役目ヲスル女ノ子ラシイ〉。

2020.5.5
 毎日が毎日の反復。

2020.5.6
 今日はGWの最終日らしい。

2020.5.7
 〈眺メノイイ、ホテルノ上階ニアル、レストランデ、島田雅彦サンニ偶然会ウ。島田サンハ、コロナ対策ノタメ、潜水服ノ様ナ、重装備ノヘルメットヲカブッテイル。顔ハ見エナイケレド、島田サンダトハ、ワカル。小サイ2歳位ノ赤チャンヲ抱ッコシテイル。「久シ振リデ会ッタノデ、自撮リノツーショットヲ撮ロウ」と言ッテ、眺メノイイ窓際ニ行ク〉。そんな夢を見る。
今日はGW明けらしい。晴天。
庭一面に無数の小さい落葉が敷き詰められている。このまましばらく放っとこう。
近所の広大な空地がオレンジ色一色の花畑に。自転車を止めて、ついウットリと眺める。いずれ近日内に家が何軒も建つのだろう。
休み明けでメールが沢山来る。
若い作家がアポなしでアトリエに入ってくる。持参した自前の飲食品を食べて帰る。いや、帰ってもらう。外出自粛期間の状況判断無視、社会的モラル、礼儀礼節の欠如なり。こちらは80代の高齢者、ちょっと考えろよな。

2020.5.8
 アトリエで作品に向き合っているだけの一日。

2020.5.9
 昨日の反復。

2020.5.10
 三日連続の反復。
難聴日々悪化。99%耳なし芳一状態(意味不明)。(よこお・ただのり=美術家)
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