田原総一朗の取材ノート「コロナと人類との戦い、「戦時」の発想」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
更新日:2020年5月15日 / 新聞掲載日:2020年5月15日(第3339号)

コロナと人類との戦い、「戦時」の発想

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新型コロナウイルス感染拡大に対して、日本政府の対応が遅れに遅れた。

私は、四月十日に官邸で安倍首相に会い、なぜ緊急事態宣言がこんなに遅れたのか、と問うた。緊急事態宣言をすると、休業しなければならないレストラン、飲食店、そして仕事がなくなった人々に対して、補償金を給付することになり、一〇〇兆円程度の資金が必要になる。

ところが、数ヶ月前には、日本の大手新聞もテレビも、日本の財政事情は世界の先進国の中できわめて悪く、長期債務が一二〇〇兆円、負債はGDPの二二〇%…。このままでは数年後に、日本の財政は破綻する、と強調していた。

だから、ほとんどの閣僚たちが緊急事態宣言に反対していたというのである。そんなことしたら財政破綻が早くなるだけだというわけだ。

しかし、これはいわば平時の発想である。

そして、第二次大戦で敗れて以来、日本は戦争をしない国、ということになって、「有事」という発想がなくなってしまったのである。

だが、ヨーロッパ、アメリカを含めて、ほとんどの国には「有事」という発想があり、新型コロナウイルスの感染拡大は、コロナと人類との戦い、つまり「戦時」だということで、緊急事態法が発令された。そして、そうした状況を見て、日本でも「戦時」だと決断せざるを得なくなったのだというのである。

ただし、他国は全て、緊急事態法に違反すれば、罰則規定があって、罰金が取られ、逮捕もされるが、日本には罰則規定はない。

戦後の日本では、人権の尊重ということが行政の基本になっていて、罰則規定をつくることは、それに反する、ということになっているからだという。
それにしても、罰則規定なしで、国民に緊急事態宣言を守ってもらうには、政府が国民から信頼されていなければならないが、森友・加計、桜を見る会などの疑惑があいついで起きていては、信頼を得るのはとても無理ではないか。(たはら・そういちろう=ジャーナリスト)
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