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ともかくスケッチ 第42回
更新日:2016年7月1日 / 新聞掲載日:2016年7月1日(第3146号)

キャデラックとゴールデン街

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キャデラックとゴールデン街
先日、新宿ゴールデン街で放火騒ぎがあった。まさしくボクの、いやボクたちの青春真只中は、ゴールデン街であったと言っても言い過ぎではないだろう。

新宿ゴールデン街は一触即発の緊張感が溢れる街だ、ちょっとのことで炎上する騒ぎである。寺山修司率いる「天井桟敷」と唐十郎の「状況劇場」、アングラと言われる劇団の登場が社会現象を起こすほどの大したもので、マスコミでもなんやかんやと取沙汰されていた。

アングラはゴールデン街が本拠地であった。TVを加えたマスコミ人、デザイナー、イラストレーター、写真家等アーティストと言われる人達がいっぱいいた。野坂昭如さんに連れていって頂いたのが最初だった気がするのだが、小説家も有名、無名沢山の人達がいた。路地のあちらこちらで諍いがあった。その隙間のあちらこちらで酔っぱらいが体内から放物線を描いて何やら吐き出しているという凄まじい世界であった。

「あなたたち、夜遊びはどこでするの?」と相棒の黒田征太郎と当時一世を風靡していたフォーク歌手の岡林信康と三人で美空ひばりさんのお宅にお邪魔したことがあった。その時にご本人から質問を受けた。「銀座です」、「六本木、青山です」と、背伸びして答えるより、日頃の自分たちを正直にぶつけるしかない、咄嗟に出た返事が「ゴールデン街です」と声が裏返っていた。天下のあの美空ひばりさんですよ。ボクたちの緊張感は沸点に達していた。ひばりさんも大したものだ。間髪入れずに「連れていきなさいよ」となった。あのキャデラックにお母さんの加藤喜美枝さんも同乗、マンモス交番に横付けとなり、若いお巡りさんも敬礼して迎えてくれた。
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