【横尾 忠則】エーッと、あのその、何んだ っけ(笑)。エンジョイ労活!|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側 第252回
更新日:2016年8月5日 / 新聞掲載日:2016年8月5日(第3151号)

エーッと、あのその、何んだ っけ(笑)。エンジョイ労活!

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80歳誕生日の記念写真 日大病院にて、広川泰士撮影

2016.7.25
 南天子画廊から依頼されているスイマー・シリーズの一点描く。描き出したら一日で描ける。悩まないから早い。

広川泰士さんが、80歳の誕生日の前日と誕生日に撮ってくれた写真を持ってアトリエへ。誕生日に入院、そして深夜に自主退院した日の記念写真でもある。

昨夜、ソ連時代にミグ戦闘機が函館空港に不法着陸し、アメリカに亡命したソ連の若いパイロットが九機の編隊から脱落しながら北海道の千歳空港を目指すまでのドキュメントを観る。これが凄い! 一歩間違えれば味方からミサイル攻撃を受ける。最終的に秒単位の死の飛行と着陸。結局函館空港に着陸するのだが、彼の背後に彼を守護する見えざる助力の存在に感動する。

アトリエの森から〓のネジを巻くような声がジリジリと躰に染みる。

ワルシャワのポスター美術館から「横尾忠則生誕80年」展のカタログ届く。三度目の個展でワタシはこの街では馴染みのグローバリズム作家ってとこかな(笑)。

NYのアルベルツ・ベンダ画廊からMoMAのピカビア展のカタログを送ってくる。東京にいながらマークはいつもNYの空気を送ってくれる。
2016.7.26
 「芸術新潮」ダリ特集で大久保さん、田中さん取材に。ポルトリガトのダリの家でガラと二人に会った時の話を聞かれる。あの日のことは克明に記憶している。うんと詳しくは拙著小説『ポルト・リガトの館』をどうぞ。

イチローの足踏状態が続く。ピンチヒッターじゃねえ。
2016.7.27
 昨夜10時におでんがまたネズミを獲ってきて、二匹で廊下を走り廻るので騒々しくて不眠状態。

朝方、磯崎新さんと郷里の実家の裏庭でチャイを飲みながら梅原猛さんの多義性について立ち話をするが、夢を見るぐらいだから少しは眠ったようだ。

「サンデー毎日」の読書欄<著者インタビュー>で『千夜一夜日記』の取材。記憶力のいい編集者だったなあ。

東京新聞「この道」の一ヶ月分ゲラ校正する。

おでんのネズミ騒動で不眠がたたり、終日へたる。

イチロー3000本まであと3本。
2016.7.28
 夜中に覚醒のくせがついて不眠気味。南天子画廊青木さん絵を取りに。青木さんは一日四、五時間睡眠。よく持つなあ。

「週刊プレイボーイ」創刊50年を迎え、過去の記事の再録をと。創刊年はぼくのピンクガールシリーズと同じ66年だという。あれから半世紀か!
2016.7.29
 三日連続不眠症? 勢いオイルマッサージに。

日経映像の「私の履歴書」を演出した二瓶さんが、再び撮りたいと。少し時間を置きましょうよ。

昨日梅雨明け、猛暑来襲。おゝ、入道雲じゃん、〓も五月蠅いやんけ。

夕方、当てもなく散歩。迷い子になって、ポイと放り出された場所はいつも通る道。

イチロー3000本まであと2本。

そろそろ就寝と床に入るなり瀬戸内さんより電話。「講談社エッセイ賞貰ったんだって」。「ええ」。「どの本で?」。「エーッと、あのその、何んだっけ、題名すぐ出てこない。まあ、こんな認知症気味を楽しんでるんですけれど」。「まあいいわ、わかった、あの本でしょう」。「そーです」と言ったものの自著の題名が全然思い出せない。「でもね、横尾さんみたいに、そんな風に落ち込まないで楽しめるってことを労活というのよ」。「ローカツ?」。老境のボケをエンジョイするってこと?
2016.7.30
 猛暑。今年はなぜか熱中症にならないような気がする。子供の頃みたいに炎天下が恋しいぐらいだから。

イチロー4の0。
2016.7.31
 寄席に行く。おッ、円朝が出ている、嬉しいね。畳を敷きつめた寄席の大半は和服の女性達。ぼくの隣りの若い女性から声を掛けられる。「私、都倉俊一の妹です」と。「あゝ、都倉さんはお元気ですか」。なんて会話を交すが、開演まで時間がありそう。円朝が高座に着く前に目が覚めちゃった。

都知事選の選挙用紙が見つからない。また例の三人の候補者の顔は判るが名前がでてこない。夢ではない、現実の話だ。

夜、散歩のあと、くたくたになっていたが、投票に行くと急に元気になる。人間は本来社会的存在にできているのかも知れない。投票所で眼鏡を忘れて、再び投票所に捜しに行くがない。結局、家にあった。(よこお・ただのり氏=美術家)
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