Xジェンダーって何?―日本における多様な性のあり方 書評|(緑風出版)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

読書人紙面掲載 書評
更新日:2017年1月27日 / 新聞掲載日:2017年1月27日(第3174号)

ジェンダーとは何かを改めて考えるきっかけとして読んで欲しい

Xジェンダーって何?―日本における多様な性のあり方
編 集:LabelX編
出版社:緑風出版
このエントリーをはてなブックマークに追加
本書のタイトルを新刊紹介で目にしたとき、私は「やっぱり出たんだな」と思った。私自身、セクシュアリティを専門分野とし、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の問題に関する市民活動を25年以上続けていたものとして、ここ数年、Xジェンダーに関する本の必要性を感じていたからだ。

Xジェンダーとは、「生まれたときに割り当てられた性別とは異なった性自認をもつ/ただし、それは明確な反対の性別の自覚があったり、決めかねて迷っていたりするものではない」人たちのことだ。よって、「反対の性に対する強い帰属感を持つ当事者」を指す「性同一性障害」とは異なる。また、「Xジェンダーとはあくまで当事者が自由に呼称している俗称であり、Xジェンダーを名乗っている限りでは疾患にならない」。

本書では、Xジェンダーのカテゴリーとして中性・両性・無性・不定性・その他の五つが挙げられている。ただし、「その五つのどれにも当てはまらないXジェンダーがいても、それは何ら不思議でも」ないということが前提とされ、あくまでXジェンダーについて全く知らない人に知ってもらうきっかけのためのカテゴリーとして位置づけられている。それだけ、Xジェンダーとひとくちにいっても、あり方は実に多様なのである。その多様さは、本書に収められた、当事者の言葉からもうかがい知ることができる。同じく女性の体として生まれた人でも、ある人は、「常に70%ほどは男性の性であるという感覚です。(略)残りの30%は中性的と言えるかもしれません」と語り、別の人は、「男性と女性の性自認を持っています」と自分を表現する。

このような例だけを読むと、性別違和のことについて詳しくない人は、混乱するかもしれない。しかし、本書は、Xジェンダーの自助サークルが編著者となりがら、精神科医や臨床心理、社会学などの専門家が執筆に参加し、専門的な解説を加えており、それを補助線として理解を進めることができるつくりとなっている。それでもなお、二項対立的性別を絶対的なものとしてイメージする者には理解しづらいだろう。往々にしてその理解しづらさとは、知識的・論理的な難しさというより、自身の世界観が崩されることへの抵抗感であることが多い。

しかし、Xジェンダーという言葉ではないが(Xジェンダーという言葉は日本発祥である)、世界的にも二分化された性別ではない性自認を主張する人たちが増えている。おそらくこれからますます性別をめぐる問題は複雑になっていくだろう。その入門書として本書は非常に優れた良書である。

ただ一つ気になるのは、本書では、セクシュアルマイノリティの代替語としてSOGI(性的指向・性自認)という言葉を使っていることである。マイノリティは人を指す言葉であり、SOGIでは直接的には代替できない。よって、「SOGIの人々」という言い方でLGBTなどを指すのは言葉として奇妙だと私は思う。

しかし、ジェンダーとは何かを改めて考えるきっかとしても読んで欲しい本であることは間違いない。
この記事の中でご紹介した本
Xジェンダーって何?―日本における多様な性のあり方/緑風出版
Xジェンダーって何?―日本における多様な性のあり方
編 集:LabelX編
出版社:緑風出版
以下のオンライン書店でご購入できます
このエントリーをはてなブックマークに追加
砂川 秀樹 氏の関連記事
読書人紙面掲載 書評のその他の記事
読書人紙面掲載 書評をもっと見る >
学問・人文 > 民俗学・人類学関連記事
民俗学・人類学の関連記事をもっと見る >