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ともかくスケッチ
更新日:2017年2月10日 / 新聞掲載日:2017年2月10日(第3176号)

国士無双の夢

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阿佐田哲也さんとはひょんなところでお隣りの席につかせてもらったことから知り合いになれた。雀聖として恐れられていたが実に気さくな方なのでほっとしたぐらいだ。

銀座の「まり花」という知る人ぞ知る小さないわゆる文壇バーである。吉行淳之介さん、近藤啓太郎さん、開高健さん、野坂昭如さん、名立たる文士の方々がおられた。伊集院静さんもこの辺りで阿佐田さんの綱をはっていたのではなかろうか。伊集院さんほどではないがボクもニ、三度麻雀の手ほどきを受けたことがある。勿論のこと全く歯牙にもかからないことは一目瞭然、分かりきったことではある。「いねむり先生」(伊集院静著、集英社刊)にもある黒鉄ヒロシ、井上陽水の若手は阿佐田さんから色々なことを教わったようだ。

50年近く前の話になるが今だにハッキリと憶えていることがある。どこかの出版社が主催する麻雀大会で目黒の雅叙園でのことだった。20卓ぐらいのまぁまぁの大会だ。末席を汚させて頂いたのはいいが、歴戦の勇者ばかりだった。対面はあの吉行淳之介さんだ。上席が阿佐田哲也さん、下席が角川春樹さんだったような気がする。ボクは国士無双をてんぱっていた。ラストのツモも残念ながら切っていったが何故か阿佐田さんがポンと居眠りしながら鳴かれたのだ。どう考えたってラストの牌がボクのツモに仕組まれていた訳だ。まさか上がれるなんて思わないがラストのツモで国士無双を上れるなんて夢のまた夢の夢である。阿佐田さんがボクをラスツモに導いてくれたのは強力な洒落だったような気がする。まさかそこに「東」が潜んでいるとは知るヨシもないのだが。ボクは麻雀をそれ以来やっていない、恐るべしだ。
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