山本 紀夫著 コロンブスの不平等交換 |書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2017年2月17日 / 新聞掲載日:2017年2月17日(第3177号)

山本 紀夫著 コロンブスの不平等交換 

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想像してみよう。もしトマトがなかったら、今あるイタリア料理はどうなったのだろう。確実に現代のものとは違った料理となっていた。トマトは、コロンブスのアメリカ大陸「発見」以降、新大陸から旧大陸にもたらされた食物である。ヨーロッパで食された歴史は、意外にも浅い。それ以外にも、新大陸から旧大陸へもたらされた作物は多い。トウモロコシ、ジャガイモ、カカオ、パイナップル…。逆はどうか。コムギ、リンゴ、ダイズ、タマネギ、サトウキビなど、多数のものが旧大陸に持ち込まれた。コロンブス以後、様々な交流が行われ、それを「コロンブスの交換」(アメリカの歴史学者クロスビーによる)と呼ぶ。著者は、この「交換」という言葉に着目し、本当に対等の関係による「交換」だったのかを検証する。第一章・二章では、トウモロコシとジャガイモの起源をたどり、栽培化・品種改良の面において、いかに先住民たちの苦難と努力があったのかを明らかにする。ヨーロッパ人は、単にそれを横取りし、自分たちの大陸に持って帰っただけなのである。一方、サトウキビはどのような効果を、先住民たちに与えたのか。結果だけをいえば、ひとつには奴隷制を拡大させることになった。また、さらに大きな影響を与えたのが、疫病である。天然痘、はしか、インフルエンザ、黄熱病、マラリアなどが新世界にもたらされた。これらによって膨大な人々が命を落とすことになる。こうした分析を通して、両者における交換が「不平等」で「一方的」なものだったことが明らかさにされる。ヨーロッパ由来の家畜(馬と牛)に関する考察(四章)も興味深い。
この記事の中でご紹介した本
コロンブスの不平等交換/KADOKAWA
コロンブスの不平等交換
著 者:山本 紀夫
出版社:KADOKAWA
以下のオンライン書店でご購入できます
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