【私の研究テーマを紹介します】
英文解釈の「予測と修正」をもう一歩先へ

著 者:北村一真
出版社:

【私の研究テーマを紹介します】
英文解釈の「予測と修正」をもう一歩先へ

北村一真(杏林大学准教授)



◆研究発表テーマ
リーディングにおける上級の予測ストラテジー――否定表現を手がかりに


 理屈で学んだ方法を使って外国語を正しく解釈できるようになるということの面白さに惹かれ、これまで多くの英語リーディングの関連書籍を読んできました。その中でも特に一般的な学習者のステージを引き上げるのに貢献したと感じられるのが、伊藤和夫『英文解釈教室』(研究社)です。本書は統語構造の分析ストラテジーの重要性に注目し、英文法のルールを基盤にして、その方法論を「予測と修正」に基づく「直読直解法」という形で丁寧に言語化することで、往年の受験生を始め多くの人々に受け入れられました。二〇一〇年に行われた慶應義塾大学言語教育シンポジウム「英文解釈法再考―日本人にふさわしい英語学習法を考える―」で、登壇者である大津由紀雄氏、江利川春雄氏によってそれぞれ認知科学的視点、英語教育史的視点から高く評価されていることからも、その視点の鋭さ、影響力の高さがうかがえます。

『英文解釈教室』の登場以降、その内容をより大衆化しようという試みに加え、同書の問題点を指摘し改善しようという試みもなされてきましたが、後者は主に文レベルを超えて文章レベルの構造に目を向けさせようという趣旨のものであり、『解釈教室』の要である文レベルでの「予測と修正」をもう一歩先に進めようという動きは比較的少なかったように思います。しかし、実用的な速読、そして、リスニングへの接続といったことを考えた場合、文レベルでの予測についてもまだ議論すべき余地がかなり残されているのではないでしょうか。このような考え方に基づき、二〇二一年に刊行した二冊の小著『英語の読み方』(中央公論新社)と『英文解体新書2』(研究社)では英語の構造的特徴、及び日本語との構造上の相違点を考慮に入れた応用的な予測の方法も一部取り入れました。今後はこれをより体系化して、汎用性の高い方略へと発展させていくことを目指しています。(きたむら・かずま=英語学・英語語法文法研究)