百年の記憶と未来への松明
著 者:霜鳥慶邦著
出版社:松柏社

百年の記憶と未来への松明

二十一世紀英語圏文学・文化と第一次世界大戦の記憶



 本書は、第一次世界大戦百周年をめぐる世界的動向に注目しながら、英語圏を中心とする複数の国(イギリス、カナダ、オーストラリア、アイルランド、パキスタン、ベルギー)の文学・文化における大戦の記憶の諸相を探究した研究書です。  日本もまたそうであるように、戦争の記憶は、国家という強固な枠によって均質的に形成・継承される傾向が強いです。ですがそのために、その支配的な記憶物語から排除されてしまう要素もあるはずです。本書は、二十一世紀の大戦文学が、閉鎖的で排他的なナショナルな枠に果敢に挑み、それを打破する様子について論じています。私たちは、本書に登場する文学作品の分析を通して、歴史に埋もれ忘れられたさまざまな「他者」たちに光が当てられ、世界の諸地域の記憶がグローバルな規模で緻密につながり、新たな記憶の地平が拓けていく様子を、目撃することができるでしょう。  過去の戦争の記憶は受動的に継承されるものではなく、反省と理解と共感によって今を生きる私たち自身の手で作り直していけるものであること、そしてそのために、優れた文学作品がきわめて重要な役割を果たし得ることを、実感してもらえると思います。  筆者=霜鳥慶邦 (四六判・四四八頁・本体三、八〇〇円)

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