『ハックルベリー・フィンの冒けん』をめぐる冒けん
著 者:柴田元幸編著
出版社:研究社

『ハックルベリー・フィンの冒けん』をめぐる冒けん



 柴田元幸は『ハックルベリー・フィンの冒けん』の翻訳刊行にあたって、キャラクターの伸びやかな語りを日本語で再現するために、ひらがなや傍点やルビを絶妙に使い分けるなど、実に細やかな心遣いをしている。そんな苦労話を聞かせてほしいと考えて本書を企画したが、そこはさすが柴田元幸、「もうそういうのはやったから」(ハック・フィンの最後の名セリフだ)と、それをはるかに超えることをしてしまった。  T・S・エリオットやノーマン・メイラー、現代作家のレアード・ハントらのマーク・トウェインの原作に対する熱い思いを聞いてほしい。J・D・サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』もソール・ベロー『オギー・マーチの冒険』も大江健三郎『飼育』も、『ハック・フィン』がなければ生まれてこなかったかもしれない。  柴田が言いたいのは、『ハック・フィン』は今も生きているということだ。全訳収録したジョン・キーンの傑作『リヴァーズ』をぜひお読みいただきたい。  Black Lives Matter(黒人の命も大切)の問題が大きく広がっているが、本書をお読みいただければ、その理由がおわかりいただけるはずだ。 筆者=研究社編集部・金子靖 (A5判・一七〇頁・本体一、七〇〇円)

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