生まれてきたことを肯定するために

対談=森岡正博×佐藤岳詩

編集室から

 私が生まれてくるか、生まれてこないかを自分で選ぶことができず、すでに生まれてきて現に生きているから、「生まれてこない」ことを経験することができない。だから、「「私が生まれてこなかったこと」の善悪についての判断を私は行なうことができない」と森岡さんは言う。古代ギリシアから語られてきた「誕生否定」に込められた意味を吟味していく本書の議論には、自分の身に直接に迫ってくる切実さ、「哲学の視点から言葉を届け」ようとする誠実さを感じる。まだまだわからないことも多い。生き続けていたいし、生き続けていいと感じられる肯定的なあり方のために、理解と実感を深めていく。(T)