緩やかな縁、豊かな無縁

対談=湯浅誠×藤原辰史

編集室から

 江國香織さんが何かの本で、ひだまりにおばあさんたちが数名、日がな一日座っている様子を欧州の風景として書かれていたのを思い出す。何を話すでもなく風に吹かれて共にいる。そういう場所が日本の特に都会には失われている気がする。先日コンビニ前に若者が群れていた。コロナ禍だし店に迷惑だし…でも少し気持ちが分かってしまう。生きるのに実際の飢えはもちろん、こころの飢えも重大で、それらを受け止める場所としていま、こども食堂があるということ。一方で「こういう活動をしなくてもいい世の中になれば」とこども食堂の人がラジオで語るのも聞いた。緩やかな縁、豊かな無縁、問題意識を持っていたい。(S)