
フーコーの思考の展開、広く深い共同研究
鼎談=小泉義之×立木康介×田中祐理子
編集室から
先日の公開シンポジウム「狂い咲く、フーコー」(人文研アカデミー)では、重田園江さんと森元庸介さんが各論考を縫い合わせるような緻密な読解を示され、執筆者の言葉と思考が交響しながら花開いていくような時間を共有させていただいた。「統治、批判、啓蒙の問題は、認識問題だけに収まらず、態度と生き方の問題つまりは倫理の問題を巻き込む」(佐藤淳二氏)。フーコーが「ディオゲネスなどのキュニコス派に見たのも、端的に言って生き様の力である」(千葉雅也氏)。他人から命令された特定の生活様式に従うことはカントのいう未成年状態で、そこから抜け出すために必要なのは自分で考える勇気と生き方である。本書を読み進めること自体が歓びに満ちたことで、お話を伺えたことに心から感謝します。(T)