日本の近代史、講談社が歩んだ道のり

対談=魚住昭×中島岳志(司会=横山建城)

編集室から



「週刊読書人」という媒体はもともと日本書籍出版協会(書協)の広報紙的な立ち位置で創刊された経緯があるので、58年の創刊時に書協の会長だった野間省一さん(講談社4代目社長)の精神性が反映した紙面構成だったのだと、本書あるいは本対談を経て理解しました。野間省一さんの精神性については、本編のつづきで魚住さんと中島さんが語っていますが、ヒントは「ユートピア思想」です。

 この「ユートピア思想」という点に関しては、70年代中頃まで毎年の新年号特集内で必ずといっていいほど話題に上がっていたテーマで、当時の常連だった五木寛之さんや岡本太郎さん、澁澤龍彦さん、吉本隆明さんらそうそうたる顔ぶれがユートピアについての考えを語っています。この時代の読書人は学生運動と結びつけて論じられますが、その背景には野間省一的思想があったということがわかり、読書人の歴史を再認識できました。

『出版と権力』と今回の対談で弊紙についての言及はありませんが、戦後出版史の一側面として小所帯ながら書評とジャーナリズムを発信し続けた媒体があった、ということを含めていただきながらぜひこの続きも読んでみてください。(WEB編集部・峰岸裕)