表裏一体の世界で生きるために

中村文則インタビュー

編集室から

 取材が決まる少し前、偶然タロットカード占いにはまっていた。占いの種類はいくつかあるが、もっとも簡単なのは好きなカードを一枚選ぶ方法である。「僕」とも中村さんとも違い、占いを簡単に信じてしまう派の私は、いいカードが出ると、その日少なくとも数時間は、気分がよくなる。悪いカードだと、気分が下がる。とはいえ、中村さんも言っていた通り、自分で行うタロット占いは解釈の仕方による部分も大きい。都合よく解釈する私は、「僕」のように本当の意味で相手を〝励ます人〟にはなれない。中村さんのお話を伺いながら、痛感した。

 こういうご時世で、世界はどんどん残酷になっていく。まだしばらくは、トランプやタロット、本のページをめくりつつ、世界に潜む可能性を探る日々が続くだろう。絶望に摑まってやるものかと、強い気持ちで生きていきたい。(N)