追悼・ジャン=リュック・ナンシー

死を超えて生きる稀有な哲学者

編集室から

 ナンシーは問題に対する何らかの解決が、「われわれが生を送り、文明が繰り広げられる場である技術的布置ないし技術的機制全体の軌道のなかに捉われたまま」であることに警鐘を鳴らしていた(『フクシマの後で』)。そしてパンデミックをはじめとする危機が、「自然と人間に関するあらゆる使用可能な力を自由に利用し、それを際限なく拡大したことから生じている」ことを明確に述べていた(『あまりに人間的なウイルス』)。さまざまな哲学書の複雑な概念を踏まえて、実存や解釈、神話や肖像画などの多様な主題を扱うナンシーの議論は難解だけれども、現在の状況にも向き合いつづけた哲学者の身体と姿勢についても多くを教えられる貴重な対談だった。お二人に心よりお礼申し上げます。(T)