知られざる、二十世紀アメリカ文学史

対談=川本直*島田雅彦

編集室から

 本書、驚嘆しつつ読み進めた。奔放で美しいジュリアンと生真面目なジョージの二人も素敵だし、自分の価値観と美学で軽やかに生きるジーンもカッコいい。この三人の組み合わせは最強だ!大著だが、小説世界を構築する事実と微量のフェイクが、著者の膨大な読書量と博識に支えられて流れるように読めるし、サービス精神&批評精神もたっぷり。ジュリアンの言葉はスパイシーでエンターテインメントとしても愉快痛快。作中に出てくる作家たちの小説を読み直したくなる。この作品が愛おしいのは、さまざまな愛や家族の姿、愛への真摯な希求が描かれているからではないかとも思うのは深読みか。本作、ご堪能あれ。(t)