わからなさを共に生きる

対談=川内有緒×若松英輔

編集室から

 子どもの頃、本は読み終わらなかった。最後の頁までいったら最初に戻り、物語は続いた。川内さんの本もそうだった。対談で若松さんが「この本は読み終わらない」と言ったのは、そう、その通りでした。はじめは目の見えない白鳥さんが、視覚以外の他の感覚でアートを感じ取る話かと思っていた。違った。ニックネームのまま友人が登場し、ビールやとろとろチーズ揚げを堪能する。変な本だなぁ…と思いつつ、どんどん頁が進んだ。そのまま最初に戻ったから、何がこの本の結末だったか覚えていない。でも少し笑ったみたいな、柔らかくてこしのあるおもちみたいな、白鳥さんの顔は残っている。この本についていろいろ言いたいことがあると思ったけど書き始めたら言葉がどこかへ行ってしまった。若松さんがたくさん素敵なことを語ってくださったので、あとは対談を読んでください。(S)