社会を覗き見せる大いなる謎

対談=菅原裕子×林浩平

編集室から

『「ボヘミアン・ラプソディ」の謎を解く』は、「謎を解く」と言いながら、さらに大いに謎を深めている本だ。謎とはクイーンの魅力そのものだと対談を聞いて気づいた。だから単にクイーンのゴシップを知りたいだけの人は、読まない方がいい。そう厚くはない一冊の中に、様々な要素が詰まっている。本を読みながら、あるいは読んだ後に、「ボヘミアン・ラプソディ」の楽曲や映画を反芻する。と、フレディ生前のクイーンから音楽を聴いているわけではない私にも、熱いものが高まってくる。菅原さんが言うように、カミングアウト・ソングかどうかなどどうでもいい。クイーンの音楽を前に、それは些末なことだ。クイーンの謎=魅力を、改めて味合わせてもらった秋だ。(S)