もうすぐいなくなります絶滅の生物学
著 者:池田清彦
出版社:新潮社
ISBN13:978-4-10-423112-6

絶滅とはどういったものなのか

図書館発!こんな本が面白い【書評提供:図書館流通センター(TRC)】

老沼扶美子 / TRC 仕入部
週刊読書人2020年4月3日号(3334号)


「絶滅」とは一体何か。言葉の意味としては、ある一つの種全てが滅んでしまうこと、らしい。それはウイルスから人に至るまで絶滅の可能性は常に潜んでいる事実でもある。

それは「種」と呼ばれるものをどこに基準とするかによっても意味が変わってくる。仮に一つの家系、一つの人種が消滅することを絶滅とするならば、出生率において下がり続けていると言われる今の日本はまさしく絶滅の一途を辿っているのだろう。

しかし、見方を変えれば絶滅は遠い問題でもある。遺伝子レベルにおいてそれぞれの人間のDNAはほとんど同一と言っていい。現在地球上では76億人もの人間が暮らしているそうで、遺伝子が近いものの存続という意味であればしばらく人というものは地球上に存在する生物とも言える。
では、絶滅から逃れる方法はあるのか。生物の進化には環境に順応していくものがあるが、それが逆に生物の首を絞めてしまう場合がある。例えば、ある環境の中である食物しか食べなくなった生物がいるとして、その食物が何らかの形で滅んでしまったとすれば、その生物はもう絶滅するしか道がなくなってしまう。進化は時にその生物を絶滅させるファクターでもあるのかもしれない。

また、恐竜が絶滅した有力説である隕石の落下のように、外部からの突然の変化によって絶滅が免れないこともある。そういった原因の中でも火山の噴火はかなり大きな要因で、これまでも数々の絶滅をもたらしてきたらしい。洪水・地震など災害を逃れる術はない。そう考えると絶滅を逃れる方法というのは皆無の可能性も出てくる。

先の文で進化は絶滅の一端を担っていることもあると述べたが、それは変化に対応できなかった場合という注釈が付く。言い換えるならば進化できなくなってしまった、という意味にもなる。要は進化に行き詰まれば種は絶滅するのだ。

人類は今後進化する術はあるのだろうか。生物の世界において、種を強くする一番の要因は交雑である。それは自身が持っていなかった遺伝子を別の種から取り込むということでもある。このことを考えると純血を尊ぶのは愚かなことでもあると言える。しかし、「○○人」など人種を分けられても、遺伝子上はほぼ変わらないことはすでに述べた。人類はホモ・サピエンスしかいない、と誇るがそれは種が一つしかないことを意味する。それが何百年、何千年後になるかはわからないが、進化の術を持たない人類はいつか絶滅するのだろう。

ただそれは遥か未来の話でもある。より長くする方法はいくらでもあるのではないだろうか。何かしらの外的原因を除いて、人類は「進化」は出来ないが「進歩」は出来るものだろうと思いたい。その力があると信じている。