赤羽末吉 絵本への一本道
著 者:コロナ・ブックス編集部
出版社:平凡社
ISBN13:978-4-582-63521-8

風土を見据える目

図書館発!こんな本が面白い【書評提供:図書館流通センター(TRC)】

辻和人 / TRC 仕入部
週刊読書人2020年7月17日号(3348号)


『スーホの白い馬』という絵本をご存知だろうか。遊牧民の少年スーホが拾って育てた白い馬が領主に奪われ、逃げだしたものの矢傷がもとで死ぬ。馬は夢の中で体を楽器にして欲しいとスーホに頼み、馬頭琴ができあがる。教科書にも載った、哀切極まりないお話だ。この絵本の挿絵を担当したのが赤羽末吉である。日本人で初めて国際アンデルセン賞を受賞した赤羽末吉は、今年生誕110年没後30年を迎える。本書はちひろ美術館の展覧会に呼応して作られた、彼の人と作品を紹介する一冊である。若くして満州に渡り、運送会社で働きながら絵を描き、認められて各地に取材旅行に行くようになる。この時の印象がのちに『スーホの白い馬』に結実したということだ。大陸から引き揚げてきた彼は、改めて日本の風土の美しさに惹かれ、名作『かさじぞう』によって50 歳での絵本デビューを果たす。国内国外を問わず、風土の本質を抉り出そうとするひたむきな姿勢が、赤羽末吉の魅力の核心にあると感じさせられたのだった。