日本思想史事典
著 者:日本思想史事典編集委員会
出版社:丸善出版
ISBN13:978-4-621-30458-7

日本思想の全体像

図書館発!こんな本が面白い【書評提供:図書館流通センター(TRC)】

辻和人 / TRC 仕入部
週刊読書人2020年7月17日号(3348号)


日本の思想史を、歴史・文学・宗教・政治など様々な角度から解説した事典。事典と言っても用語の解説に終わるのでなく、項目ごとに読み物としてまとめられる体裁だ。第一部は「日本思想史の諸相」で、「人間観」「宗教観」「道徳観」「秩序観」「歴史観」「芸術観」「自然観」の章で構成されている。第二部以降は時代ごとに「古代」「中世」「近世」「近現代」と時代の流れを追う構成になっており、それぞれの部は更に幾つかの章に分かれている。つまり、日本の思想の全体像を縦の軸と横の軸で捉える形になっている。カヴァーする範囲は途轍もなく広く深いが、文章は比較的平易であり、難しい漢字にはルビが振られている。この一冊の中に日本思想に関する良質の入門書が十冊分程も入っているという感じである。日本の思想の最新の像が、研究者だけでなく私のような一般読者にも理解できるように編纂された本書は、とても便利で貴重な存在だと思う。