竹島水族館の本
著 者:蒲郡市竹島水族館
出版社:風媒社
ISBN13:978-4833101691

竹島水族館の本

図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)

高田高史 / 神奈川県立川崎図書館
週刊読書人2019年9月6日号(3305号)


 数年前,小さなライブ会場で,あるミュージシャンが愛知県蒲郡市にある竹島水族館のホームページを絶賛していた。帰宅してホームページを見てみると,弱小貧乏水族館であることを半ば自虐的にアピールしていたり,スタッフがあれやこれやとチャレンジするコーナーがあったりで,笑ってしまうのと同時に,努力や工夫に感心させられた(当時のホームページは現在より手作り感のあるデザインだった記憶がある)。
 その竹島水族館の本が出た。詳しく知りたくなり手に取った。本の前半は「竹島水族館 深海生物図鑑」,後半はスタッフの活動の記録という構成だ。私は後半に興味があったのだが,日本一の展示種数を誇るという深海生物の図鑑は,竹島水族館流の小ネタが満載で,本書を見ながら実際に観察してみたくなるものだった。
 後半は密度が濃い。ユーモアにあふれた「伝統引き継ぐアシカショー」,運営や日常の仕事を伝える「人気の秘密ここにあり!」,催事や企画を紹介した「こんな楽しみ方はいかが?」の各章,そして多数のコラムが載っている。
 例えば,水族館の「バックヤードツアー」は,当日の朝,くじで担当者を決めているそうだ。それぞれ得意分野も興味も違うので,話す内容はまちまちになる。他のスタッフに負けまいと,ネタを仕込んだり,知識をつけなくてはならない。結果「全員分を聞き比べるのがオススメ」となる。
 また,スタッフには「お小遣い制度」もある。ベテランも若手も一定のお小遣いを与えられ,使い道は自由だそうだ。多数の魚を買っても,高級魚を1匹だけ買っても,ある季節に集中的に使うこともできる。この方法,図書館で選書の一部として導入してみても面白いかもしれない。
 他分野の本を読んで,図書館の業務のヒントを見つけていくのは楽しい。