はじめて学ぶ法学の世界 憲法・民法・刑法の基礎
著 者:関根孝道
出版社:昭和堂
ISBN13:978-4812213377

はじめて学ぶ法学の世界

図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)

松田康佑 / 埼玉県立熊谷図書館
週刊読書人2019年9月20日号(3307号)


 本書は法学の基礎から始まり,憲法・民法・刑法の基礎的な解説書である。その内容は単なる法律の解説だけでなく,法律の存在意義やその構造など,法律を学問的に習得するために必要なことも含まれている。また,解説する項目ごとに関連する法律の条文や重要判例の要旨の一部が載っており,理解の手助けになっている。判例については要旨のみで,事件内容が記載されていないので少しとらえにくくはあるが,判例集の出典が記載されているため,判例を見てみたいと思えば容易に探し出すことができる。
 著者は本書を,教養科目として法律を学ぶ法学部以外の学生を対象とした法学概論の入門書「もどき」と位置付けている。「もどき」とあるのは,一般的な法学の入門書と比べると,条文や関連する判例・学説などに深入りし過ぎず,要点のみを解説した教科書として執筆されたものだからであろう。
 私自身が法学部出身であったため,大学の頃に学んだことを思い返しながら読んでいたが,法学部生が学ぶ法律の基礎知識の大半がこの一冊に入っている。法律の知識を有していない人が学ぶための導入としては非常にわかりやすい。
 また本書の構成は,法学の基礎についての説明から始まり,続いて憲法・民法・刑法という六法の中でも主要な法律について各章で解説を行うというものなので,それぞれの法律の特徴を比較してみることもできる。条文を読むだけではわからない,法律解釈に必要な基礎知識を一度に知ることができる。
 教養としての法学を身につけようとする人や,これから法学を学ぼうという人にとって非常に役立つ本である。