決してマネしないでください。
著 者:蛇蔵
出版社:講談社
ISBN13:978-4063884159

決してマネしないでください。

図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)

湯川康宏 / 埼玉県立飯能高等学校,日本図書館協会認定司書第1032号
週刊読書人2019年9月27日号(3308号)


 とにかく,人間の行動をなんでもかんでも純科学的に考えてしまうラブコメマンガである。
 「僕と貴女の収束性と総和可能性をi(アイ)で解析しませんか?」と,巷に跋扈するチャラ男以上に理解不能なセリフで告白し,撃沈する主人公の掛田。それを慰めるのに「女性は星の数ほどいる」というところを「肉眼で確認できる星は北半球で4,300個,東京ドームに女性を詰めたと仮定して肉眼で認識できる女性の数とほぼ同数だ」と声を掛ける,変人揃いの先輩たち。内容の半分程度は真面目な科学者列伝なのだが,一見役に立ちそうで一生使えないであろう科学知識と実在の科学者の功績とがスムージー化してストーリーが展開してゆく。何が事実で何がフィクションなのかわかりづらく,いつの間にか騙されてしまう。
 体内の細胞を擬人化した『はたらく細胞』など,他の“ためになるマンガ”に比べると本作の認知度は低い。埼玉県内高等学校Web-ISBN総合目録で初巻の所蔵状況を確認すると,埼玉県内で所蔵する高校図書館数はデータ提供館136校中『はたらく~』66校に対し本作品では本校含め10校である(2017年7月末現在。ちなみに人気マンガ『ちはやふる』は101校,埼玉の高校が舞台の『おおきく振りかぶって』は55校が所蔵している)。
 本校理科教諭(女性)が瞬読し,絶賛したこの作品,作者の蛇蔵氏(女性!)によると,理系のための恋愛マニュアルにもなっているとのこと。読めば納得!のはずなのだが,デートの誘い文句が「意思疎通の可能性を追求するために,共同研究という体験の共有を提案します。(掛田)」なんて無理…という方にはもう一作,『バーナード嬢曰く。』をお勧めする。本を読まずに読んだコトにしたい,《なんちゃって読書家》の自称 “バーナード嬢”が,図書室で友人相手に繰り出す名言の数々,ぜひとも堪能していただきたい。