うちの子は字が書けない 発達性読み書き障害の息子がいます
著 者:千葉リョウコ
出版社:ポプラ社
ISBN13:978-4591155325

うちの子は字が書けない

図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)

土田由紀 / 滋賀県立大津清陵高等学校 昼間部
週刊読書人2019年10月25日号(3312号)


 本書は,知的な障害がないのに,一所懸命努力しても文字が書けない・読めない子どもを持つ母親が,「発達性読み書き障害」という概念に出会い,専門機関に相談し,診断を経て支援を受け,母子の二人三脚で進んでいった体験をもとにしたコミックエッセイ(筑波大学教授・宇野彰氏と著者の対談つき)である。
 「発達性読み書き障害」は,ディスレクシアと呼ばれることもある,アメリカでは約10%の人が該当するといわれる比較的知られた障害である。2012年の文部科学省の調査によれば,日本では4.5%の確率で存在するという。つまり,クラスに2~3人はいることになる。にもかかわらず,学校現場でさえ,ほとんど認知されていないのが現状である。その理由は,日本での研究がこれまで進んでいなかったことに加えて,当該の子どもたちがクラスの中で目立たなかったからだそうだ。そのため,本人にやる気がないからだとか,そのうちできるようになるだろうとか,本人の努力や学力が足りないからだとか思われて,見過ごされてきたのだという。
 本書を読んだ先生方と内容について話し合った時,(合理的配慮をした場合)「『あの子だけずるい!』…となってしまい それがイジメにつながるケースが大変多い」(p.75),(多大な時間や労力がかかっても,本人が努力すれば)「点数を取れるんだったら 配慮する必要はない」(p.159),と言われる場面が切ない,と何人かに言われた。
 合理的配慮は「苦手なことを補ってもらう 自分もまた他の人の苦手なことを補って助け合うと考えればいい」と著者は言う(p.165)。眼鏡や杖や車いすを使うのと同じように,合理的配慮も当たり前のことだと思われるようにするのが,わたしたちの役目だと認識できる本だ。