地方の未来が見える本
著 者:清丸惠三郎
出版社:洋泉社
ISBN13:978-4800308542

地方の未来が見える本

図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)

郷野目香織 / 新庄市立図書館, 日本図書館協会認定司書第 1124 号
週刊読書人2019年11月8日号(3314号)


 自分が指定管理者の一般社団法人理事兼職員ということもあり,市民協働分野の本を読む機会が徐々に増えてきた中で出会ったのが本書だ。
 総務省発表の『過疎地域市町村等一覧(平成29年4月1日現在)』(http://www.soumu.go.jp/main_content/000491490.pdf)によると,全国の過疎区域は合計817団体にも上る。本書で(今後の課題も含めて)紹介される地域おこし成功のまち10事例も,かつては少子高齢化・働き口の無さ・若者の流出・空き地や空き家の増加・中心市街地の空洞化・自然環境の破壊等,複数の要因が重なり疲弊した地域の一つだったが,「とにかく,地域おこしは一に人,二にも人,三にも人」というわけで,唯一無二の個性溢れるリーダーが地域おこしを牽引してきたという共通点がある。
 たとえば島まるごと図書館構想でも名高い島根県隠岐郡海士町では,「町長自身の給与3割カット」で「町民の危機感や意欲に火をつけ」自立を促すと同時に,新たな産業創出につながるI&Uターン移住者や,島外からの高校生の受け入れを推進した。また,漫画『HUNTER×HUNTER』作者冨樫義博氏の故郷・山形県新庄市では,市職員が「真剣に自分たちの住む地域を活性化させるための団体」を立ち上げ,地元商店街幹部と協力して全国初の「100円商店街」を成功させた実績を生かし,成功システムとノウハウを全国の商店街向けに公開した。他8事例も同様に,少数の人々が元からあった資源・産物・景観等に価値を見いだし,根気強く地元住民を説得しながらまちの宝として磨き抜いた結果が,継続的な集客や売上げ増加へと結び付いた。
 公や民または「公と民の間を行き交う『渡り鳥』」リーダーの有言実行力に賛同した住民たちが,多大な時間と労力をかけて再生したまちは次世代に誇れる魅力満載で,今すぐ旅立ちたくなる1冊だ。

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