スーパーインテリジェンス 超絶AIと人類の命運
著 者:ニック・ボストロム
出版社:日本経済新聞出版社
ISBN13:978-4532357078

スーパーインテリジェンス

図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)

山縣睦子 / 埼玉県教育委員会,元埼玉県立熊谷図書館
週刊読書人2019年11月15日号(3315号)


 本書はAI研究者やビル・ゲイツにも絶賛された世界的話題作の日本語訳である。原著は2014年に発行された“Superintelligence: Paths, Dangers, Strategies”である。その原著副題のとおり,道程,危険性,戦略の三つが書かれている。
 著者はスウェーデン人の哲学者で,現在はオックスフォード大学の教授である。ボストロム教授は次の仮説を検証しようとしている。要約すると「もし近未来にスーパーインテリジェンス,すなわち人間の英知を結集した知力よりもはるかにすぐれた知能が出現するならば,人類が滅亡する可能性があり,そのリスクを回避するためには,スーパーインテリジェンスのふるまいを,それよりはるかに劣る人間がいかにしてコントロールすることができるかという問題を解決しなければならない」という仮説である。
 したがって全15章からなる本書は,この仮説の検証の工程をなぞる構成となっている。まず,第1~5章では,スーパーインテリジェンスとは何かに迫り,どのように出現するか考察している。次に,第6~13章では,スーパーインテリジェンスがどのような能力と意思を持つのか,人類を滅亡させる可能性を考察した後,肝であるコントロール問題を論じている。そして第14~15章ではAIに関わる政策課題を考察し,知能爆発の到来に先駆けて重要かつ緊急の問題に我々の努力と資源を集中すべきだと主張する。
 本書が717頁と分厚いのは,索引・参考文献・原注が150頁を占めるからである。それでもこの本の見た目に怯むことなく,AI研究を目指す高校生にぜひ読んでほしいと思った。AIを活用した企業活動が話題になる中,人間の安全を守るため,軸となる考え方を持っていてほしいと願うからである。緻密かつ論理的に説明する著者の熱意を感じ,そのような人になってほしいと思う。