サードプレイス コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場
著 者:レイ・オルデンバーグ
出版社:みすず書房
ISBN13:978-4622077800

サードプレイス

図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)

戸張裕介 / 調布市立図書館国領分館
週刊読書人2019年12月6日号(3318号)


 昨夏,腰を痛め,半年ほど近所の整骨院に通った。お客さんと整体師さんや,お客さん同士の会話,そして整体師さんのキャラクターが相まって,とても雰囲気がよく,完治した後も通いたいと思ったほどだった。そのようなときに思い出したのが,この本である。
 書名にもなっている「サードプレイス」とは,第1の場である家,第2の場である職場の間にあり,居心地が良く,さまざまな機能を持った場所である。
 この本の構成は,三つに分かれている。第1部は,「サードプレイス」の特徴や機能が解説される。この本で挙げられる機能は,娯楽性から近隣住民を団結させるものなど,数多くあった。第2部では,各国の「サードプレイス」事情について,紹介されている。この本では,イギリスのパブや,フランスのカフェなどが例として挙げられている。
 第3部では,「サードプレイス」の課題を挙げる。この中で筆者は,都市計画等により,空間利用の単機能化が進行していることについて指摘する。そのような場所を「非場所」と呼び,そこではお客さんは,単なるお客さんでいることが求められる。この点については,アメリカに限らず,日本も同様だと思った。一方,「サードプレイス」では,お客さんは,お客さんであると同時に,その場の構成要員としての役割がある。
 近年,にぎわいの創出を目的に,図書館を含む複合施設が作られることが多いが,複数の「非場所」が同じ箱に収められているだけなのではないかと感じた。この本を読むと,本当のにぎわいを創出するとは何か?と考えさせられる。
 地域に根ざす図書館が「サードプレイス」になる可能性は十分にある。そのためにもこの本を一読する価値はあるように思う。