南極建築1957-2016
著 者:
出版社:LIXIL出版発行
ISBN13:978-4864805162

南極建築1957-2016

図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)

高田高史 / 神奈川県立川崎図書館
週刊読書人2020年1月31日号(3324号)


 南極が舞台のアニメ『宇宙よりも遠い場所』を見て,オーロラ,ペンギン,砕氷船…など,今まで知らなかった南極に興味を持ったとしよう。多くの人は,なんとなくの興味だけで終わるのだろうが,そうしたときにこそ,ぜひ図書館の書架を眺めてほしい。「南極の本だ」と手に取った一冊から,興味が広がっていく。
 今回,紹介するのは『南極建築1957-2016』。NDCだと526(各種の建築)に分類されることが多いので,そこに南極の本が置かれているとは,気が付きにくいかもしれない。
 終戦から10数年後に行われた南極での基地建設は手探りで行われた。初期案では円形の建物も考えられていたが,現場からの組み立てやすさの要望もあり四角い形に改められる。建築家・浅田孝はパネルを組み立てる方式を考えた。「日本初のプレファブ建築」とされる。本書には組み立てマニュアルを兼ねた設計図面集の一部も掲載されている。この建物は工芸品と語り継がれた。
 南極には高床式の建物が多い。スノードリフトと呼ばれる雪の吹き溜まりへの対策である。近年は船も大型化し運べる資材も増えた。エコや生活の快適さを考慮した建物が主流で,昭和基地の自然エネルギー棟は,2011年のグッドデザイン賞を受賞した。
 日本以外の南極の基地も写真で紹介されているが,デザイン的にも目を引く建物ばかりで,機能性も含め,国ごとの特色もうかがえる。
 本書は,南極の建築の歴史を軸に,写真,イラスト,解説,証言などでまとめている。多方面から読みやすく書かれているので,ここから関心が広がることもあるだろう。図書館が出会いの場であるのなら,こんな本もあることを知ってもらいたいと感じた。上記のアニメや南極が舞台の映画などを見ても,これまでとは違った楽しみが生まれるだろう。