大丈夫,働けます。
著 者:成澤俊輔
出版社:ポプラ社
ISBN13:978-4591158388

大丈夫,働けます。

図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)

村上さつき / 大崎市図書館、日本図書館協会認定司書 第1089号
週刊読書人2020年2月14日号(3327号)


 総務省が2018年6月に公表した5月の労働力調査によると,完全失業者数は158万人となっているが,本書の著者によると,“働きづらさ”を抱えている就労困難者は3000万人と考えられている。“働きづらさ”には身体障がい,知的障がい,発達障がいもそうだが,引きこもり,難病,DV被害者や破産者など,理由は多岐にわたる。本書はそんな働きづらさを抱える就労困難者支援をするFDA(Future Dream Achievement)の活動が綴られている。
 第一章では,5人の働きづらさの体験を一部マンガにして説明をしている。気持ちに余裕がないとき,忙しいと感じているときなどは,マンガで書かれているものも図書館利用ではよく好まれるので,程よい構成に感じる。
 第二章ではどんな人や出来事がきっかけで就労困難者になるのか,第三章では,著者の生い立ちに触れている。実は,著者の成澤さんは,網膜色素変性症という病気で視覚障がい者でもある。また,働く過程でうつ病や髄膜脳炎となり,自身も就労困難者となっている。
 FDAではトレーニングを積み重ね,就職をサポートしている。そんな中で著者がくりかえし「大丈夫だよ」と声をかけ,就労困難者も自分ができること・できないことを理解し,会社もそれを理解し受け入れる。そんな相互の関係を築き上げていくことが,長く働き続けられることにつながる。
 仕事にのめりこみすぎてうつ病や双極性障がいになった人など,だれにでも“働きづらさ”を抱えることはありえる社会になっている。正社員になって働いたことのない人が初めて正社員となり,プレッシャーでうつ病になることもあるそうだ。もはや,私たちはこの“働きづらさ”のある社会から目を背けることは出来ない。「大丈夫」と,多様性を受け入れることが必要なのだ。