思うは招く 自分たちの力で最高のロケットを作る!
著 者:植松努
出版社:宝島社
ISBN13:978-4-8002-5139-8

思うは招く

図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)

深村清美 / 滝川市立図書館
週刊読書人2020年4月10日号(3335号)


 人口1万人の過疎化が進むまち・北海道赤平市にある植松電機は,従業員18名の小さな町工場で,宇宙開発という大きな夢のある仕事をしている。ロケットエンジンや人工衛星を製作したり,無重力施設まで備えている。あのNASAやJAXAからも,この会社を訪れ職場見学をしていくというのだから驚きである。著者の夢は「どうせ無理」という言葉をなくすこと。自信を砕き,夢を奪うこの一言を,自分自身が何度も大人たちから投げかけられてきたからこそ,諦めなければ宇宙開発ですら実現できるということを伝えたかったのだ。
 可能性を信じ続け,未来をつかんだ人の言葉は説得力と重みがある。見開きの頁ごとに読者を応援し背中を押してくれる言葉が綴られており,特に私が心に残った言葉は「大事なのは,できるか,できないかで『選ぶ』のではなく,やりたいか,すべきかを『考える』ことです」(p.96)である。図書館に置き換えるならば,予算がないから,人がいないからと,とかくできない言い訳を探しがちであるが,どうやったらできるかを考える方が前向きで良い結果を生むのではないだろうか。「きっとできる!!」そう信じることから,何かが生まれるのである。また,この本の内容はインプットするだけではなく,ぜひアウトプットすることをお勧めしたい。勇気を持って一歩を踏み出すことが夢の実現につながる最善の方法である。人口規模も運営体制も違う全国の図書館が,それぞれの館の個性を生かし,やりたいこと,すべきことを考えて,スタッフ一人一人の心から「どうせ無理」を払拭できたなら,これほど目覚ましい図書館活動の改革や推進はないだろう。
 これからの未来を担う子どもたちや若者はもちろんのこと,もう夢など見るのを忘れてしまった大人にこそ読んでもらいたい。「思うは招く」の題名にすべてが込められている。