写真で伝える仕事
著 者:安田菜津紀
出版社:日本写真企画
ISBN13:978-4865620450

写真で伝える仕事

図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)

甫仮久美子 / 神奈川県立平塚江南高等学校
週刊読書人2020年7月17日号(3348号)


 毎年図書委員会の生徒有志と書店への直接購入へ行っている。せっかく大きな書店に行くのだから,日ごろ見て回らないような棚も探って,わが校にふさわしい本を選んでほしいと思うのだが…。だいたいはマンガかラノベになってしまう。そんな中で2年前の図書委員が選んだのがこの本だ。
 写真集としては小ぶりで薄いこの本,生徒の手にも取りやすかったのかもしれない。表紙は民族衣装を着た姉妹らしい少女が微笑みながらこちらを見ている。
 高校を卒業し,それぞれの進路に進んでいく生徒たちのために,学校図書館ではさまざまな可能性や,広い世界が垣間見えるような資料を集めたいと思っている。平和な日本では想像もつかない,戦争や貧困に苦しむ世界が現実にあり,自分たちと同世代の子どもたちがその現実の中にいる。そんな世界を写真で伝えているのが,この本の著者フォトジャーナリストの安田菜津紀さんだ。
 安田さんがなぜ「写真で伝える仕事」を選んだのか? この本の前半では,高校生のときのカンボジアでの体験,日々どんな仕事をしているのか,大切にしていることは何か,から始まり,後半では訪れた世界の子どもたちの写真と,現地の状況が紹介されている。
 最後の「私たちに何ができるのか」の章では,“無知”がいかに人を傷つけるか,“学ぶ”ということが自分以外の誰かのこころを守ることになるということ,そして世界をもっと優しい場所にしていくために,あなたになにができるだろうかと,高校生に向けて語りかけている。
 この本を選んでくれた生徒には,きっと子どもたちの笑顔と,安田さんからの想いが届いていたことだろう。