ギター・アンプの真実
著 者:アキマツネオ
出版社:リットーミュージック
ISBN13:978-4-8456-3436-1

アンプというブラックボックスの中身

図書館発!こんな本が面白い【書評提供:図書館流通センター(TRC)】

鈴木麻衣子 / 練馬区立南田中図書館
週刊読書人2020年7月24日号(3349号)


「マーシャルの3段積みを背中において、それでギターを弾く姿は圧倒的にビジュアル的にかっこいいよね。」という著者の言葉に大きく頷いてしまう。ステージに並ぶそのギターアンプの姿は視覚的にもオーディエンスを楽しませる。
 
ただ、ギターアンプの真の役目はギターの信号を増幅、調整し音を出力する事。初めてのギターとして好きなギタリストモデルのエレキ・ギターを買い、早速弾いてみようと弦を弾くも音が出ない…という経験をしたという話を聞いた事があるが、エレキ・ギターはアンプと合わせてワンセット。アンプと繫がなくては音を出す事は出来ない。だからこそアンプは楽器の一部として考えられているが、なぜ音が出るのか、なぜ鳴らした音が歪むのか、アンプで作られる音の仕組みを理解している人は少ないのではないだろうか。本書では、特に真空管アンプを中心に、その仕組み、スピーカー・キャビネット、歪みと音量、トラブルシューティング等について書かれており、言わばアンプの教科書である。「基礎編」「応用編」「実践編」と順を追って理解していく事で、アンプの奥深さを知ることが出来る。音楽の素人からすると初めて聞く単語も多く出てくるが、そんな言葉の意味を調べながら読み進める事も楽しさの一つであるし、著名なギタリストであるジミ・ヘンドリックスが使用するアンプ、マーシャル1959について書かれたコラムのページにある「ロー・インピーダンス受けになっている機材」という言葉の意味も理解できるようになっているのである。
 
「この本は、長年ギター・アンプと向き合ってきた自分がアンプを使う上で知っておいて欲しいと思う事を書いた」とまえがきにあるように、著者はギター・アンプを使うギタリストに向けて本書を書いている。きっと、アンプについて何か困難を抱えているギタリストに役立つ1冊であろう。コロナウイルスのクラスター発生によって、ライブハウスの運営は厳しい状況にある。これまでアンプには興味が無かったオーディエンスも、再びギターをライブハウスで楽しめる日を心待ちにしながら、この機会にアンプの奥深さを知るのも良いのでは。