公務員の「出世」の作法
著 者:堤直規
出版社:学陽書房
ISBN13:9784313150881

公務員の「出世」の作法

図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)

小川健太郎 / 市川市中央図書館
週刊読書人2020年7月31日号(3350号)


 この本を最初に見たとき「出世とは,まあなんといやらしいテーマだこと」「それも,公務員向けか,うーん,どうかな」というのが,第一印象であった。現実には公務員の世界でも組織である以上,序列役職は存在するのであり,その意味では,「出世」はありうる。それが,昇任試験であるか,上司の評価による昇任であるかは,自治体により違いはあると思えるが。
 いわゆる「出世」に対する考えは,必ずしも肯定的にとらえられるものばかりではないと思うが,本書では「組織内外で信頼される世に出る公務員のススメ!」と表紙にも副題のように表示されているので,基本的に出世は悪いものとはしていないように思える。
 本書を読み進むと,確かに「出世」についての本なのであるが「むしろ公務員が本来やらなければならないこと,ぜひすべきことが角度を変えて述べられているのであり,『出世』はあくまでそのうちの結果のひとつでしかないものである」というのが本書を読んだ感想である。
 思うに,図書館業界におられる専門職の方の多くは,優秀な方が多く,才能能力も秀でているのだが,ある意味おとなしい印象を受ける。自治体内での位置づけも専門職という枠組み・立場を意識して図書館や自分の仕事には忠実であるが,それ以上,つまり「出世」を意識している方は多くないと思える。しかしながら,現在のような状況下では,果たしてそれでいいのか? 自治体内部での相対的な図書館の地位低下の一因は,専門職であるがために出世を望まなかった方が多いからだ。というのは極論であるのは重々承知しているが,あながち過ちでもないように思えるのは私だけであろうか。
 そのような意味でも,ぜひ本書を図書館業界の専門職の職員の方々に一読をおすすめしたい。
 昇任試験に落ち続けている私が言うのも説得力が無いかもしれないが。