池上彰の世界の見方 アメリカ
著 者:池上彰
出版社:小学館
ISBN13:978-4-09-388469-3

<アメリカを深く知るための
基礎知識が詰まった本

本の編集人より

/ 小学館編集部


日本にとって大きな影響力を持つ国、アメリカ。実は最大の「知っているようで知らない国」ではないだろうか。

アメリカの正式な国名は「The United States of America(USA)」。日本語では「アメリカ合衆国」だ。アメリカは、50の州が集まっている国。それなら「アメリカ合州国」という表記のほうが正しいのではないか? そんな疑問が湧いてくる。表記の謎解きは、本書を読んで確かめていただきたい。

また、アメリカの「州」を日本の「県」のようなものだと考えてしまうと、アメリカを理解することはできない。一つひとつの州は、いわば「国」のようなものだ。それぞれの国が集まって、またひとつの国になる、というのが私たち日本人には理解しにくい。

州政府は、州ごとに独自の憲法を持ち、議会が制定した法律がある。州の裁判所も、地方裁判所、控訴裁判所、最高裁判所の三審制をとっている(一部、二審制の州もある)。州警察も、州の軍隊も持っている。それでは、連邦国家の政府や議会、裁判所や警察との関係はどうなっているのか? 

本書を編集中は大統領選挙期間だったので、トランプとクリントンの名前が連日ニュースを賑わしていた。大統領選挙の投票日は「11月第一月曜日の翌日」だ。不思議な設定である。「第一火曜日」とすればいいのに、それではダメな理由がある。実は、投票日はキリスト教と密接な関係がある。なぜそんな日に決まったのかを知ると、アメリカはキリスト教徒がつくった国だと改めて思い知るのだ。

このように、アメリカという国の素朴な疑問を、池上氏が丁寧にひもとき、解説するのが本書の特長だ。また、2050年にはいわゆる白人が半数を割って、黒人、アジア系、先住民、ヒスパニックの人たちの合計が白人を上回る、との予測が出ているが、アメリカの未来はどうなるのか。日本の大学生とはまったく異なるアメリカの大学生の人気就職先、日米防衛協力から日米の関係を見直すなど、池上氏独自の視点から、現在のアメリカを分析している。

なんでも「ナンバーワン」でなくなってきたアメリカは、転機を迎えている。本書を読むと、今までのイメージとは異なるアメリカの姿が見えてくるだろう。

今回の特別授業は、池上氏の母校である都立大泉高校の附属中学校3年生に向けて行われた。池上氏が卒業したあと、学校は中高一貫校になったが、生徒たちは先輩を活発な質問で迎えた。特に、安全保障関連法が成立する直前の授業だったので、それによって日本がどう変わるのか「いい質問」が続出した。ぜひ読んでいただきたい。